◆サウジC・G1(2月14日、キングアブドゥルアジーズ競馬場・ダート1800メートル)

 再び、中東の地から1年が始まる。フォーエバーヤング(牡5歳、栗東・矢作芳人厩舎、父リアルスティール)は史上初の連覇を狙うサウジCから始動し、昨年唯一の敗戦(3着)を喫したドバイ・ワールドCへ転戦。

しかし、米国のブリーダーズC(以下BC)クラシックから東京大賞典を挟んだ昨年と違い、今年は直行で参戦する。

 「両方取るためには東京大賞典は使わない方がいいという考えでね。サウジ、ドバイを両方勝ちたいという考えのもと、このローテにしました。サウジは100にはならないかもしれないけども、100に近づけて、しかも上昇した状態でいけると思っています」

 昨秋にダート最高峰のBCクラシックを制覇。頂点に立った。王者として、再び走り出す1年。責任感を強く感じている。

 「あまり負けてはいけない馬になったのがつらいけど(笑)、ジャパンCを取りたいとか、有馬記念取りたいとか、凱旋門取りたいとかではなく、決めて出るレースを確実に勝っていくこと。そして、馬が無事であること。とにかく、結果と安全の両立を目指していく。それだけですね。そして、種牡馬価値をさらに上げていきたい」

 2歳秋のデビューから約2年半。

ダートを主戦場に海外各地を転戦し、今や世界中から熱い視線を集めている。想像もできなかった競走生活は自らに重なり合う面もある。

 「大体、俺の調教師生活自体が思っていた以上だよ。今みたいに勝てるように目指していると言っていても、そんな自信があったわけでもない。目指していただけ。ただ、そうなれば満足する所はまだひとつもないし、一方ではこんなレースを勝てるなんて信じられないという思いもあります」

 フォーエバーヤングには競馬のロマンが詰まっている。父は自ら手がけたリアルスティール。馬上には海外へ武者修行に行かせるなど厳しくも温かく育ててきた厩舎所属の坂井がいる。

 「(リアルスティールの)現役時にサウジCがあればと思うんだよ。あの馬は芝、ダート関係なく、恐らく左回りのワンターン1800メートルがベスト。今でいえば、もうサウジCですよね。時代がなぁ…。

ただ、それを息子が果たしたんだから、いいんじゃないかな、それで。瑠星のことも含めて、両方ともに本当に俺にしか分からない世界だと思います」

 世界中の注目を集める始動戦。重圧を感じながらも、愛馬への圧倒的な信頼が揺らぐことはない。

 「うちの馬が一番強いでしょうね。それは間違いないと思うんだけど、去年のドバイがそういう状態で負けたんで。もちろん油断をすることは絶対ないけども、気を引き締めていくだけです。

 まぁ、普通に走ってきてくれと。普通に走ってくれば結果はついてくると思っています」

(取材・構成、山本 武志)

 ◆矢作 芳人(やはぎ・よしと)1961年3月20日。東京都生まれの64歳。84年から栗東へ入り、14度目の調教師試験で合格。05年に厩舎を開業した。その後は3冠馬コントレイルを始め、数々の名馬を輩出。

14、16、20~22、24年で6度のJRA最多勝を獲得。19~23年、25年で6度の最多賞金獲得調教師賞を獲得した。昨年11月9日には地方、海外を合わせた通算1000勝を達成。JRA通算は944勝。

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