巨人の新外国人スペンサー・ハワード投手(29)=前楽天=が13日、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。来日1年目の昨季、初登板から5連勝を飾るなど日本野球に適応した右腕は新「ビジターキラー」襲名に意欲。

開幕ローテーション候補の一人として期待のかかる新戦力が14年ぶり日本一奪回の力になる。(取材・構成=堀内 啓太)

 余裕を感じる笑顔で那覇空港へと降り立った。ハワードにとって日本で2度目の春季キャンプ。宮崎では2度ブルペン入りするなど順調な調整ぶりが光った。そして沖縄から対打者への実戦フェーズに突入する。

 「チームが変わっても問題なく練習できている。去年日本に来て、自分が痛い目に遭う時はコーナーを狙いすぎてカウント不利になって打たれる、そのパターンだった。日本の打者は長打を狙う人が少ない分、バットに当てるのがうまい印象。空振りが少ないね」

 昨年は150キロ前後の速球とチェンジアップの緩急を軸に9先発で5勝1敗、防御率2・22。結果を残した一方で、腰の張りや上半身のコンディション不良での離脱も経験した。

 「今までここまでの故障をしたことがなかった。去年はやるべきことをやって、治療も受けていて、それなのになかなか良くならなかった。

それにすごくフラストレーションがたまったんだ。でもそういう経験をしたからこそ、自分が体をどうやって使う傾向があるのか、自分の体をより知る機会にできたよ」

 今オフは母国で理学療法を一から学び、けが予防、再発防止に徹底的に時間を費やした。全ては新天地で活躍するためだ。

 「今まではオフになると一定期間休んで、すぐに重いウェート(トレ)をやっていた。けがを経験して、負荷のかかるトレーニングをする前に体の動きを丁寧に確かめるように変えたよ」

 米ロサンゼルスで生まれ、ドジャースの大ファンである父・ケビンさんの影響で7歳から野球を始めた。幼少期は車で約4時間かけてドジャースタジアムに観戦に行くこともあった。

 「当時応援していたのはドジャースのクローザー、エリック・ガニエ。その人のファンだった」

 ガニエは救援投手ながら03年にサイ・ヤング賞を獲得。84試合連続セーブ成功のメジャー記録も持つMLBを代表する名守護神だ。球場を支配するような存在感と投球に目を奪われた。

 「彼が(9回に)出てくるとお父さんが喜ぶんだよ(笑)。『これはもう試合が終わった!』ってね」

 昨年6月6日の巨人戦(東京D)では7回98球で無失点。

巨人打線に三塁すら踏ませず、まさに支配的な内容で敵地を静まり返らせた。投手としての醍醐(だいご)味を問うと、ニヤリと笑って答えた。

 「三振を取ること。それがこの上ない、世の中で最上の快感だよ。こう言うとちょっと嫌なヤツに聞こえるかもしれないけど、特に敵地でね(笑)。バッターを応援している人が多い中で三振を取って、球場がシーンとなるのが気持ちがいいんだ」

 リーグ3位に沈んだ昨季、チームはビジターで借金17。特に甲子園で4勝8敗、マツダで2勝10敗と鬼門に苦しんだ。“ビジターキラー”として意気込みを問うと、日本語で「ヨッシャー!」と気合十分で反応を示した。

 現在米国に住む家族もシーズン中に来日する予定。計算の立つスターターとして移籍1年目から大きな期待がかかる。

 「目標は1年間けがせずローテーションを守ること。ローテを守っていれば、結果はそれについてくる」

 自信に満ちた言葉に飛躍の予感が漂った。

 【取材後記】

 ハワードに日本で成し遂げたい目標を聞いた。「日本語をもっと覚えて、しゃべれるようになりたい」。てっきり野球にまつわる返事が来るかと構えたが、答えは違った。

 来日当初は一切日本語を知らなかったという。「日常的に日本語の環境に身を置くとちょっとずつ分かるようになってきたんだ。それを経験した時に、外国語を学ぶことは『もしかしたら人生で1番素敵なことなのかな』というぐらいに思ってね」。羽田空港での来日時の取材や宮崎キャンプ中に、記者が英語であいさつすると「おはようございます」「おねがいします」と日本語で返ってきた。積極的に適応しようとする姿に、ナイスガイぶりが表れている。

編集部おすすめ