◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 昨秋に高校野球北信越大会を制した帝京長岡(新潟)がセンバツ切符をつかんだ。1月30日、寒波による大雪が降りしきる中、一般生徒らも体育館に集結。

ナインとともに発表を見届けると、険しい表情だった芝草宇宙(ひろし)監督に笑みがこぼれた。東京・帝京高時代に甲子園出場経験がある指揮官だが「これ以上ない気持ち。帝京のユニホームを着て甲子園に戻れるとは…」と感無量だった。

 日本ハムで通算46勝を挙げ、引退後はコーチも務めた芝草氏。20年4月に帝京長岡の監督に就任した。高校時代の恩師でもある浅川節雄校長からは、意外な“お願い”をされた。「普通の入場行進ができる、そんなチームをつくってほしい」

 浅川校長が赴任した約20年前の夏、初戦敗退直後、一本の電話が学校にかかってきた。「あんな入場行進じゃ、そりゃ勝てるわけないだろ」。同校を応援する地元のファンからだった。「非常にだらしない行進だった」と当時を振り返る校長。「すごく辛辣(らつ)な言葉だった。だけど、ずっと脳にあった」

 だからこそ、芝草監督には強さより「当たり前のことを当たり前にできる」チームづくりを頼んだ。

それから約6年。今では電話口から「野球部が雪かきをしてくれて助かった」などの感謝が伝えられる。

 誠実に取り組む姿勢が実を結び、つかんだ春夏通じて初の甲子園。くしくも芝草監督の母校も15年ぶりの甲子園出場を決め、“帝京対決”に期待が高まる。鈴木祥大主将(2年)は「初出場初優勝を狙いたい」。開会式は3月19日。04年の済美(愛媛)以来となる偉業へ、まずは聖地で堂々の行進を披露する。(メジャー担当・竹内 夏紀)

 ◆竹内 夏紀(たけうち・なつき)19年入社。担当は大相撲、ロッテを経て25年に現職。

編集部おすすめ