巨人に新加入した則本昂大投手(35)=楽天=が18日、スポーツ報知の単独インタビューに応じ、自身の先発論を明かした。3年総額13億円の大型契約で加わったベテランは、新天地で3年ぶりとなる先発に挑戦。

古巣時代の恩師・星野仙一監督や昨季までの同僚・岸孝之投手(41)への思いも明かし、貯金に加えて22年以来となる完投勝利に強い意欲を示した。(取材・構成=堀内 啓太)

 温暖な那覇で則本は連日充実の汗を流している。メジャー挑戦も視野に約2か月半熟考を重ねて選んだ巨人への加入。熱烈ラブコールに心動かされ、期待と責任を一身に感じながら先発として調整を進めている。

 「1月中は『どうしようかな』とずっと悩んでいた。その中でジャイアンツに来てほしいと熱意を伝えていただいた。このチームでやりたい、と思えるところでプレーしたかったので複数年(契約)をいただいた時はうれしかった。期待に自分も応えないといけない。この3年間、ジャイアンツのために最大限戦う。その気持ちでいます」

 昨季先発不足に苦しんだチームを救うべくやってきたFA戦士。メジャー移籍した松井に代わり24年から抑えに転向したが、ルーキーイヤーから計8度の2ケタ勝利など元来は先発型。15勝した17年はキャリアハイの8完投。

通算でも32完投12完封。先発は試合を作る、ただ勝つだけではいけないというのが持論だ。その原点にはプロ1年目の恩師・星野監督の存在がある。13年5月4日のオリックス戦(Kスタ宮城)。エース金子と投げ合い7回119球で無失点と好投して降板した直後のことだ。

 「裏に行く時に星野さんとすれ違って。『(終盤)あそこの2個のフォアボールが余計なんだ。だから完投できねえんだ!』って。(勝っても)褒められたことはない。ただ、星野さんがいなければ、今の自分は絶対ない。救援陣が(日頃)どれだけ先発のカバーをしてくれているのかは、中(継ぎ)に入らないと分からなかった。2年間リリーフをやって、強いチームにはローテーションを守っていく中で3人ぐらい一人で試合を締める選手がいるなと。

リリーフが登板過多になりすぎず、かつ本当に大事な時に3連投、4連投できる体力を残しておくのも重要なんだと感じました」

 ブルペンを主戦場とした昨年、40歳9か月で完投したのが岸だった。完投数は涌井(中日)、田中将(巨人)に次いで現役3位。その姿が自身の本能に火をつけてくれた。

 「去年、一昨年は若手より岸さんの方が完投していた。『あぁ、やっぱ岸さんはカッコいいな』と。その当時はもう、野球人生をリリーフで終えると思っていた。だけど岸さんを見ていて先発の血が騒いだ。やっぱ先発ってカッコいいなと思わされましたね」

 まずは22日のオープン戦・中日戦(北谷)で移籍後初先発を予定。し烈な開幕ローテ争いが幕を開ける。

 「先発で年間投げられたら25登板あるので自分が投げた試合は極力勝つ。貯金を作るのは最低限。先発、リリーフ両方経験したからこそ分かることもあるので、若い投手が何か聞いてきてくれれば全力で答えてあげたい。

チームが変わっても野球自体は変わらない。13年間で学んだものは後輩たちに還元したいなと思っています。ジャイアンツは、強くないといけない。伝統ある球団としてこの先もプロ野球のトップを走っていかないといけないチームだと思う。僕は子どもの頃そう見てたので。だからこそ、このユニホームを着られるのはすごく光栄。覚悟を持って試合に臨みたい」

 25年の巨人投手陣はリーグ5位の2完投(赤星の完封と山崎の完投負け)。全身全霊、覇権奪回に貢献する心意気だ。

 ◆則本 昂大(のりもと・たかひろ)1990年12月17日、滋賀県生まれ。35歳。八幡商で3年夏に県4強も甲子園出場なし。三重中京大を経て2012年ドラフト2位で楽天入団。

2リーグ制以降初の新人から4年連続開幕投手。14年から5年連続奪三振王。8試合連続2ケタ奪三振(17年)のNPB記録保持者。178センチ、82キロ。右投左打。年俸4億円(推定)。背番号43。

【取材後記】

 則本は心の底から燃えていた。キャンプインから1週間後。サンマリン宮崎で山口オーナーから直接激励された日だ。「『ジャイアンツに来てくれてありがとう。頑張ってください』とお言葉をいただいて。

先発ピッチャーとしてチームが勝つために貢献したい」。その目に迷いはなかった。

 海外FA権を行使した今オフはメジャー行きを最優先に練習を続けてきた。米メディアによると、現地ではリリーフとしての過去2年の実績にスポットが当てられ、メジャー契約も中継ぎとしての評価だったという。人生をかけて飛び込むには容易に判断できない、難しい条件だったとも想像ができる。心が大きく揺れ動く中、先発として最も高く評価してくれたのが巨人だった。

 23年までの11年間、NPBの第一線でスターターとして腕を振ってきた右腕。夢はあったが、選手として最も必要としてくれたチームでプレーすることを決断したようだ。インタビューを通して、先発への並々ならぬ思いが伝わってきた。

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