◆ミラノ・コルティナ五輪 ▽フィギュアスケート 女子フリー(19日、ミラノ・アイススケートアリーナ)

 3大会連続出場で、ショートプログラム(SP)2位から出た坂本花織(シスメックス)が、銀メダルを獲得した。2022年北京五輪の銅メダルに続く2大会連続、そして団体との連続複数メダルは日本女子初の快挙となった。

 金メダルのアリサ・リュウ(米国)には1・89点届かなかった。「力が最後まで100%出せなかったのがすごく悔しい。前は奇跡のような銅メダル。これだけ銀メダルで悔しいって思えるくらい成長できた。4年間頑張ってきてよかった」。最後の五輪を終え、悔し涙を浮かべつつ「目標にしていた団体、個人での銀以上は何とかギリギリできた。自分を褒めたい」と口にした。

 過去の2大会とは比べものにならないほどの重圧を抱えて臨んだ3度目の五輪だった。団体、個人で4度の演技をやり遂げた。完成度と表現力で世界女王まで上り詰めた25歳。「いろんな経験を経て、このやり方が一番自分に合っているし、これでやるんだっていうのを強く決めてから、スケートに迷いがなくなった。一つ一つの試合で勝つっていう気持ちがちゃんと芽生えた。

本当にこの気づきは大きかったし、このやり方を貫き通してよかった」。この日の「愛の賛歌」には、坂本が求めたスケートがつまっていた。

 表彰式では笑顔を見せ、勝者のリュウと初出場銅メダルの中井亜美をたたえた。4位で終えた千葉百音は、坂本に抱きしめられると涙があふれた。その千葉は坂本の演技を「ずっと感動しながら見ていた。目に焼き付けておこうって思っていた。こういう忘れられないスケーターになりたいなと思った」と記憶と心に刻んだ。

 長年連れ添った中野園子コーチは「これで良かったんだろうと。これからの人生の上で。その分コーチになったときに頑張ってまたやっていこうという力を残すという意味では、これはいい位置なんだろうなと思う。これからどう生きるかなので。今いくつメダルを持っているかより、後ろを振り返らず、これからしっかりと生きていってほしい」。

愛情あふれる言葉で教え子をねぎらい、「あなたが銀だったから、オリンピック金メダリストを育てていきなさい」と声をかけた。

 追われる立場は苦しい。坂本は自分を奮い立たせ、歯を食いしばり、先頭を走り続けた。背中で示し、優しさで包み、日本を引っ張ってきた。後輩たちに、つないだバトン。コーチとしての、これからの挑戦。未来を照らす、光り輝く銀メダルだった。

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