◆第44回中山牝馬S・G3(3月7日、中山競馬場・芝1800メートル)=3月5日、栗東トレセン

 このレースを最後に現役を引退、繁殖牝馬入りする予定のビヨンドザヴァレー(牝6歳、栗東・橋口慎介厩舎、父イスラボニータ)は、追い切り翌日のこの日もダートコースでハッキングを行い、体をほぐした。

 6日は輸送があるため、これが正真正銘、本当に最後の調教。

ここまでの思い出をかみしめるように、調教後に厩舎周りをゆっくりと、何周も歩いた。担当の酒井助手は「(調教で)少しイライラしていたのでね。最後はいい形で終わりたいな、と思って」とうなずいた。ゆっくりと対話する二人だけの時間を過ごし、満足そうな笑みを浮かべた。

 22年の10月にデビューし、ここまで21戦5勝。「新馬戦から頑張ってくれて、これがいい馬なんだなと思いました。背中も良くて、キャンターも軽くて」とこの馬に教えられたことは多い。昨年のレディスプレリュード(Jpn2)では重賞タイトルもつかんだ。「もっと勝たせてあげたかったですね」と悔やしい気持ちもあるが、まだ最後のレースが残っている。「芝とダート、両方で重賞を勝てれば、繁殖牝馬としての価値も高くなりますから」と同助手は前を向いた。昨年のこのレースでは0秒2差の4着。中山コースでは24年のターコイズSでの2着もあり、適性はある。

 昨年引退したアーテルアストレアに続き、酒井助手は2年連続で担当馬との別れになるが、これは悲しい別れではない。「ビヨンちゃんもよく頑張ってくれました。いい子を産んでくれると思います。性格もいいですし、賢い馬なので」。血のドラマはこれからも続いていく。ラストランと分かってレースに送り出せるのは、きっと幸せなことなのだから。(山下 優)

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