東日本大震災から11日で15年を迎えた。福島第1原発事故で閉業した老舗「松本屋旅館」が、9月にも営業を再開することになった。
福島県浪江町西部の山間部、日テレ系「ザ!鉄腕!DASH!!」の「DASH村」があったことでも知られる津島地区。山を縫う国道を自動車で走ると、脇道に分岐する道のほとんどに「この先帰還困難地域につき通行止め」の看板が立てられていた。主要街道沿い以外のほとんどは、立ち入りすら許されていない地域。深い森、取り壊された住居の跡の更地、黒い土のうに包まれた除染土置き場などを抜けると、いかにも重厚感ある「松本屋旅館」に到着した。出迎えてくれたのは4代目主人の今野さん。今年9月の開業を目指す旅館について「いろいろな交流のきっかけになるような、人が集まる場所にしたいんですよ」と期待を込めた。
松本屋旅館は明治末期から築130年を誇る2階建ての老舗。開業当時は福島市の県庁と海岸地域を結ぶ街道沿いにあり、往来する人々でにぎわった。
震災から12年たった23年3月、ようやく旅館周辺の避難指示が解除された。一方で、自宅などを公費で解体できる期限は、その1年後と法律で定められていた。残された旅館を解体するべきか保存するべきか。今野さんは「正直悩みました。家を残しても周囲に何もないから住めない」。それでも脳裏に浮かんだのは4代つないだ旅館の伝統と、子どもの頃から生活してきた思い出。「最後は壊せない気持ちが勝った」と振り返る。
当時は残すことだけが目的だった。
津島地区は、総面積の1・6%しか避難指示が解除されていない。居住者も今は12世帯19人のみ。人が少なくなった地域で、旅館を復活させる意義はあるのだろうか。
木村さんは「旅館はランドマーク。ようやく復興がここまで進められたという証しなんです」と説明する。「宿泊では採算は取れないかもしれない。でも住民だった人やこの地域に興味を持った人、さまざまな人の交流の場にすることに意義がある」。今は開業に当たって人手不足。

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