今年は午(うま)年。「馬とゆかりのある場所」を取り上げる企画「馬さんぽ」(随時掲載)第2弾は、北海道苫小牧市にあるノーザンホースパークの「パドック2」を紹介。

無敗で3冠を達成するなどG1・7勝のディープインパクトやブラックタイドの母として知られるウインドインハーヘアが余生を過ごしている。今年で35歳。人間なら100歳超で、サラブレッドとしては長寿の部類に入る。担当するノーザンホースパーク職員の鈴木彩音さんに話を聞いた。

 雪が降り積もる幻想的な風景のなか、ウインドインハーヘアがポニーと一緒に放牧されている「パドック2」には人だかりが。競馬界の偉大な母は柵から顔をのぞかせ、時折首を上下に振りながら優しいまなざしをファンに向けていた。 

 普段は午前6時頃に朝食をとり、同9時頃~11時頃まで放牧地でポニーたちと過ごす。11時頃に「きゅう舎1」にある馬房に帰った後は昼食をとり、午後は体の手入れや、訪れたゲストへ積極的に顔を見せているという。雪が大好きで、“白銀のじゅうたん”の上でゴロゴロと寝転がるのが楽しみの一つ。鈴木さんによると性格は「馬にも人にも、とっても優しい性格。穏やかで落ち着きのある馬」ということだが、おなかがすくと鳴いてアピールしたり、放牧地でスタッフを見つけると駆け寄るかわいい一面も。訪れたこの日も顔がかゆかったそうで、担当の鈴木さんにしきりに顔を寄せて甘えていた。

 

 パークでは「ウインドママ」「お母さん」と呼ばれ、親しまれる存在。愛情深い性格で、ポニーを我が子のように大切にしている。「例えばポニーたちの放牧が少し遅れたり、一緒に放牧している誰かが欠けてしまった時は心配して探し回ったり、いななく様子もよく見ます。ポニー同士でけんかが始まってしまった場合も間に入って仲裁をしますね。群れのリーダーらしい一面も見受けられます」。 

 長生きの秘訣(ひけつ)は食欲だ。毎日、朝・昼・夕方・夜と4回の食事はきれいに完食。外に出て他の馬と交流する時間も大事で、いい刺激になっている。恋愛事情についても聞いてみた。基本的には誰にでも分け隔てなく接しているが、「『サンブルーノくん』とは非常に仲が良かったですね。お互いに顔をすり寄せて、グルーミングですね。挨拶をしたり、よく一緒にいる姿を見かけましたね」。

 

 35歳になっても若々しく、周囲への愛にあふれる様子が魅力的な一頭だった。(取材・構成=三島 英子)

 ※13日にYouTube「スポーツ報知 馬トクちゃんねる」で公開された動画では、ウインドインハーヘアがノーザンホースパークで放牧中の様子や、担当の鈴木さんに甘えるかわいらしい様子を紹介しています。

 ◆ウインドインハーヘア 1991年にアイルランドで生まれ、現役時代は13戦3勝。英オークス2着入ったほか95年独G1では初子(父アラジ)を受胎したまま制覇した。その後、アイルランドで繁殖入りし、99年に日本に輸入され、ノーザンファームででけい養。6番子でキタサンブラックの父となるブラックタイド(父サンデーサイレンス)、7番子でディープインパクト(同)を産むなど日本競馬に大きな影響を与えた。12年に生まれたレスペランス(牝、父キングカメハメハ)を最後に繁殖を引退。けい養されていたノーザンファームで功労馬となり、14年からは現在のノーザンホースパークで過ごしている。

編集部おすすめ