大相撲春場所5日目(12日、エディオンアリーナ大阪)

 関脇・高安が無傷の5連勝とした。西前頭筆頭・義ノ富士を危なげなく寄り切った。

36歳の元大関が、37歳8か月の旭天鵬に次ぐ年長2位の初優勝へ序盤戦を全勝で駆け抜けた。西前頭4枚目・隆の勝は西同6枚目・阿武剋を突き落として5連勝。西同5枚目・琴勝峰は初黒星を喫し、全勝は高安と隆の勝の2人になった。綱取りの大関・安青錦は東前頭2枚目・藤ノ川を押し出し、連敗を免れた。

 高安が若手のホープを圧倒した。義ノ富士に立ち合いで鋭く踏み込んで左のまわしを取ると、右も制して力強く寄り切った。相手に何もさせない完勝で、23年名古屋場所以来16場所ぶりとなる初日から5連勝。支度部屋で「組み止めて、しっかりまわしを取ろうと考えていた。理想の相撲でしたね。流れが良かった」と納得の表情を浮かべた。

 験のいい大阪で盤石の序盤戦を過ごしている。春場所は21年から5年連続で10勝以上を挙げており、昨年は初優勝には届かなかったものの、13日目まで単独トップ。

当時大関の大の里と優勝決定戦を戦った。結果だけでなく「全体的に内容がいい」とうなずいた。

 場所前の2月28日に36歳の誕生日を迎えた。慢性的な腰痛などに悩まされ、大関陥落も経験。取組前の支度部屋でも携帯できるマッサージ機で筋肉に刺激を与えるなど、ケアやトレーニングで試行錯誤し、昨年は9年ぶりに年6場所を皆勤した。「毎日、体の変化がある。本場所で一番力の出る状態にするために臨機応変に、いろんなことに取り組んでいる」。長年の積み重ねの成果で今場所は体に不調がなく、「気持ち良くやれている」と明かした。

 36歳で初賜杯を抱けば年6場所制となった58年以降で年長2番目だ。八角理事長(元横綱・北勝海)も「内容がいい。元大関というより、“今大関”という感じだね」と充実ぶりに目を細め、「いけるんじゃない。雰囲気もある」と期待した。

大勢の報道陣が取り囲むなど早くも周囲のムードは高まるが、何度も賜杯を逃してきた高安は「まだ5日目。こんなに集まってもしょうがないですよ」と冷静だ。初土俵から所要125場所で初Vを果たせば、スロー記録で史上1位の旭天鵬の121場所を更新する。「いい序盤戦だったので。いい状態をキープして明日も取り組みたい」。元大関は足元を見据えて中盤戦に臨む。(林 直史)

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