俳優の山時聡真(20)が、映画「90メートル」(中川駿監督、27日公開)で女優の菅野美穂(48)と親子役でダブル主演した。難病を抱える母と、進路に悩みながら介護をする高校生の息子による感動物語。

中川監督が母を介護した実体験を踏まえて親子愛や思春期ならではの、みずみずしい心の動きを繊細に描く。山時は「自分の代表作。いつになっても初心を思い出す糧になる作品」と胸を張った。(有野 博幸)

 アニメ映画「君たちはどう生きるか」(宮﨑駿監督、2023年)で主人公・眞人の声を担当して注目された山時が、菅野とのダブル主演で難役に挑んだ。

 撮影時は10代。菅野とのダブル主演に「正直、プレッシャーでした」。内容的にも病気や介護など重い題材を扱った物語に「100%の覚悟を持って撮影に臨まないといけない。しっかり真摯(しんし)に役と向き合って、丁寧に作品を作ろうと」と気を引き締め、撮影現場に向かった。

 菅野とは初共演。「お芝居を通じて、自然とお母さんと息子という関係が縮まって、親子になることができました」。病気を患いながらも息子を気遣う母を演じる菅野の姿に心を打たれた。「言葉の強さ、お芝居の強さに衝撃を受けて、鳥肌が立ちました。

ずっしりと心に響く菅野さんのお芝居を見て、監督もカメラマンさんも泣いていました」と振り返った。

 母の介護のためにバスケットボール部を退部して、進路に悩む高校生の佑役を演じた。自身も中学、高校はバスケ部。高校ではキャプテンを務めた経験がある。「僕も芸能のお仕事で試合を休むことがあったので、佑の悔しさ、悲しさがよく分かりました。もちろん全部理解するのは難しいけど、自分と重ねて演じることができました」。経験者ならではのバスケの腕前も収められている。

 撮影中は中川監督と対話を繰り返し、佑の人物像を作り上げた。何度も「この時、どういう気持ちだと思う?」と問いかけられ、その都度、佑になりきって演じる毎日。「佑の気持ちになれていないと、お芝居もうまくできない。監督から信頼してもらっているという責任を感じました」。家庭の事情で離れたバスケ部の仲間と再会する場面が特に印象的で「完成した作品を試写で見て、仲間の愛を感じて号泣しました」と明かした。

 5歳から子役として芸能活動を始め、キャリアは15年。映画デビュー作「ゆずの葉ゆれて」(16年)で共演した津川雅彦さん(18年死去、享年78)に言われた「芝居というのは、日常のことをするだけなんだよ。でも、それが一番、難しい」という言葉を胸に刻んでいる。「強烈に覚えています。今でも思い出すし、僕の俳優としての原点ですね」と思いを巡らせた。

 7年間、習った空手は黒帯の腕前で「いつかアクション作品に挑戦したい。空手の経験を生かせると思うんです」と目を輝かせる。同じ事務所に所属する先輩の松坂桃李(37)、菅田将暉(33)が目標で「松坂さん、菅田さんのように映画賞を取れるような俳優になりたい。もし賞をいただけたら、俳優人生のモチベーションになると思うので、地道に頑張りたい」と力を込めた。

 ◆「90メートル」 人生の岐路に立つ高校生の息子と難病を患いながら我が子の希望ある将来を願うシングルマザーの親子愛を描いた物語。小学生の頃からバスケットボール一筋だった佑(山時)は母・美咲(菅野)が難病を患ったことで、高校2年のときにバスケ部をやめ、美咲の世話を優先する。高校3年生になった今、東京の大学に進学したい気持ちはあるが、美咲を一人にするわけにはいかず、葛藤を抱えている。

出演はほかに南琴奈、田中偉登西野七瀬ら。116分。

 ◆山時 聡真(さんとき・そうま)2005年6月6日、東京都生まれ。20歳。5歳で子役として芸能界入り。16年の「ゆずの葉ゆれて」で映画デビュー。23年のアニメ映画「君たちはどう生きるか」で主人公・眞人の声を担当。主な映画は「ラーゲリより愛を込めて」(22年)、ドラマは日テレ系「ちはやふる―めぐり―」(25年)など。4月期のTBS系ドラマ「時すでにおスシ!?」にも出演する。

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