◆第63回愛知杯・G3(3月22日、中京競馬場・芝1400メートル)

 今月4日に開業した橋田宜長(よしたけ)調教師=栗東=が愛知杯でアイサンサンと重賞初挑戦する。父はサイレンススズカ、アドマイヤベガを管理したことで知られる橋田満元調教師で、23年2月に定年引退した。

3年ぶりに栗東に誕生した橋田厩舎。開業19日で初タイトル奪取なら史上2位のスピード記録となる。

 屈託のない表情に気負いは感じられない。4日に開業したばかりの橋田厩舎がアイサンサン(牝4歳、栗東・橋田宜長厩舎、父キズナ)で初重賞に挑む。今月初めに定年引退した佐々木調教師の元管理馬で、まだ預託前だった戎橋Sを勝ってのオープン入り。「ありがたいですね。オーナーや佐々木先生に感謝しかありません」。勝てば、史上2位となる開業から19日での重賞制覇。37歳の橋田調教師は3週目での重賞挑戦に表情を引き締めた。

 流れのままに仕上げていく。自らが手がけてから約2週間になるが、「前走も勝っていますし、その延長戦上でやっています」と調整方針は変えず。担当の三山助手も佐々木厩舎時代と同じで、ほぼ坂路を中心の調教を行う。

1週前にはしまい重点に鋭く脚を伸ばし、加速ラップを刻みつつ、53秒2―12秒2をマーク。「動きはよかったです」と満足そうにうなずいた。

 祖父の俊三さん、そしてG1・11勝を含むJRA重賞63勝を挙げた父の満さんの流れを引き継ぐように開業。そんな厩舎で掲げるスローガンがある。それが「相手のためにもうひとつ」。それぞれが互いを思いやり、助け合えば、それが馬のためにこうしてあげようと気持ちにつながる、という考え方だ。「僕の指示が十分にできないこともありますが、チームで考えて、解決してくれている。スタッフに恵まれたなと思います」とうなずく。

 そんな穏やかな空間の中、アイサンサンは気持ちよさそうに日々を過ごしている。「心配していたカイバ食いなども落ちず、落ち着いていると思います。いい形で送り出せると思います」と笑顔で仕上がりに太鼓判を押した若きトレーナー。人の力と馬の力を融合させ、重賞初挑戦初制覇の偉業へ挑む。

(山本 武志)

 ◆開業以来スピード重賞制覇 歴代最速は、諏訪富三元調教師の開業5日で、1975年のクイーンS(アンセルモ)で達成した。開業21日で続くのが現役の菊沢隆徳調教師で、2011年の阪神スプリングJ(オープンガーデン)。歴代3位は1995年に北九州記念(イナズマタカオー)を勝った音無秀孝元調教師の開業33日となっている。

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