制度はあっても、日常が追いついていない。働く妊婦のリアルは、意外にも「仕事着」という身近な問題に表れていた。
具体的な悩みの中心はサイズの問題だ。「ウエストがきつい」「服が入らない」といった声が多く、体型変化に既存の制服や私服が対応しきれていない実態が浮き彫りとなった。特に制服のある職場では、構造そのものが妊婦に合わず、「エプロンのひもが苦しい」「フックを輪ゴムで延長する」といった工夫で乗り切るケースも見られた。一方、私服勤務でもマタニティ用の服を十分に用意できず、オーバーサイズで代用するなど負担は小さくない。
こうした中、職場の受け皿は十分とは言えない。調査では、専用のマタニティ制服が「なかった」とする回答が83.3%に達し、「あった」はわずか16.7%にとどまった。多くの現場で制度的な整備が進んでおらず、個人の工夫に委ねられている現状が明確だ。
しかし、その存在意義は大きい。妊娠中に「快適な専用制服」がある職場について、77.4%が「社員を大切にしていると感じる」と回答(「とても感じる」34.4%、「やや感じる」43.0%)。単なる機能提供にとどまらず、「配慮されている」「復帰を歓迎されている」といった心理的な安心感や帰属意識にもつながっていることが分かる。
求められる機能も具体的だ。「ウエスト調整機能」や「伸縮性のある素材」が上位に挙がり、「トイレのしやすさ」「冷え対策」「ポケットの多さ」など、実務に直結するニーズが並ぶ。いずれも大がかりな制度ではなく、日常に寄り添う改善である点が特徴的だ。
約36%が困り、83%の職場で未整備、それでも77%が価値を感じる。数字が示すのは、見過ごされがちな“小さな課題”の大きな影響だ。働き方改革が進む中で、真に問われているのは制度の有無だけではない。日常の細部にどこまで目を向けられるかが、職場の本当の姿勢を映し出している。

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