米マイアミで描いたアーチをほうふつとさせるような放物線だった。1点を先制し、なおも続く3回2死二塁の好機。

「3番・右翼」で先発出場した阪神・森下翔太外野手(25)が、木村の初球117キロのカーブを豪快にすくい上げ、左翼席に運んだ。「とりあえず一本出てホッとしています」。会心のオープン戦1号2ランに笑みがこぼれた。

 14日(日本時間15日)の準々決勝・ベネズエラ戦(ローンデポパーク)。鈴木(カブス)の負傷交代により2回から中堅の守備に入った森下は、3回に左翼席へ一時勝ち越しの3ランを放った。「その経験がすごく自分の中で自信となって生きている」。16日に帰国した後、千葉県内の阪神の宿舎に直行。気合十分で17日・ロッテ戦(ZOZO)に即スタメン出場し、開幕に向けて再スタートした。

 憧れのスーパースターの背中を追うことが、若き大砲の新たな原動力の一つになった。この日、大谷(ドジャース)が2大会連続となる指名打者でのWBCベストナインに選出。森下は「口で多くを語るというより野球で、すごく背中で見せてくれたWBCだったなと思う。自分もああいう背中で見せられるような選手になっていきたい。

目標でもある」と目を輝かせる。

 だから「常に上を目指さないといけない。現状維持で満足していない」と前進する。今回のWBCはベネズエラが決勝で米国を破り、頂点に立った。27年のプレミア12、28年のロサンゼルス五輪と国際大会は続くが「やっぱり世界一を取りたい」と若き侍の心は燃えている。世代のトップを走り、次は日本の中心として―。幕張の空に描いたアーチに、その決意が表れた。(中野 雄太)

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