日本サッカー協会は19日、英国遠征に臨む日本代表28人を発表し、FW塩貝健人(20)=ドイツ1部ウォルフスブルク=が唯一の初招集でメンバー入りを果たした。6月開幕の北中米W杯メンバー発表前最後の強化試合となるラストサバイバルの場で、異端のストライカーが、森保ジャパンの“隠し玉”としてW杯出場国のスコットランド戦(28日、日本時間29日)、イングランド戦(31日、同4月1日)で、本大会に向けてアピールを狙う。

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 武骨な点取り屋に、アピールの機会が舞い込んだ。ゴールへの嗅覚に優れ、“ギラギラ感”を持ち味とする20歳のストライカー・塩貝がサプライズ選出された。森保一監督(57)は「(選手を)試す時期じゃないと考える人もいると思うが、W杯で勝つための最大値を考えられる選手は呼びたかった」と期待を寄せた。

 今季の成績は申し分ない。オランダ1部NECで途中出場中心ながら12戦出場で7ゴールを稼ぎ、1月にドイツにステップアップ。2月には5大リーグ初得点も決めた。森保監督は「何度か招集を考えたこともあった」とこれまでも候補に挙がっていたことを明かし「より高みを目指してチャレンジし、ステップアップしていることを踏まえ、招集していいかなと思った」と選出の背景を明かした。

 常に挑戦を続け、異端のキャリアを歩んできた。慶大1年時の24年1月、異例の3年前倒しとなる27年の横浜M加入内定を勝ち取り、4月には特別指定選手としてJ1の舞台で得点。横浜M関係者は「練習でも試合でもずっとギラギラしていた」と明かす。8月にNECからオファーが舞い込むと、周囲の反対を押し切って横浜Mの加入内定を解除し、渡欧。欧州2年目の今季、ゴールを量産し「自分自身を成長させたかった」と安泰の立場を捨ててドイツへと渡った。

 森保ジャパンのFWは上田がエースとして君臨しており、小川が2番手という立ち位置。攻守両面で味方との連係を積み上げてきたライバルの壁は高く、大逆転でのW杯26枠入りは容易ではないが、ストライカーは実績よりも、時に調子が重視されるポジション。W杯出場国2チームと対戦する今活動の結果次第では、駆け込み選出の可能性も十分に残されている。

 今回対戦するイングランド代表では「ワンダーボーイ」の愛称で親しまれたマイケル・オーウェンが、18歳での代表初キャップから4か月後に98年フランスW杯でアルゼンチンからゴールを決めた例もある。W杯開幕まで3か月を切ったタイミングでつかんだ好機。挑戦意欲とゴールでキャリアを切り開いてきた塩貝が“ワンダーボーイ枠”への滑り込みを狙う。(岡島 智哉)

 ◆過去のW杯のワンダーボーイ

 ▼イングランド代表FWオーウェン フランスW杯イヤーの98年2月に18歳59日で代表デビュー。本大会のメンバーにも入り、1次リーグ第2戦ルーマニア戦でW杯史上3番目(当時)の18歳190日でゴール。決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦ではDF陣を切り裂くようにドリブルで約40メートルを独走し、衝撃のゴールを決めた。

 ▼イタリア代表FWスキラッチ 開幕前まで代表出場1試合で26歳で迎えた90年イタリアW杯で、サブ扱いから先発を奪い大会得点王(6点)と最優秀選手に輝き、母国を3位に導いた。「トト」の愛称で親しまれ、J1磐田でもプレー。

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