シンガー・ソングライターの中村中(40)が、東京・六本木のEXシアターで上演中のロック音楽劇「ガウディ×ガウディ」(29日まで)でヒロイン役を好演している。

 歌手の沢田研二(77)と「黒猫CHELSEA」のボーカルで俳優の渡辺大知(35)がスペインの建築家、アントニ・ガウディを2人1役で演じる作品。

サグラダ・ファミリアを建築中の老いたガウディ(沢田)が若きガウディ(渡辺)と出会い、奇妙な共同生活を送るというストーリーで、中村は、生涯独身を通したガウディが若き日に愛した初恋の女性・ペピータを演じる。

 ペピータは実在の人物だが、創作に委ねられる部分も大きい役。「(作・演出の)マキノノゾミさんが『天命とどう向き合うか』ということをテーマにした作品。夢見がちだった若いころのアントニが痛みを知って、自分が何をすべきかというきっかけを与える役として描かれていまして…」。ペピータが劇中で口にするあるせりふは、ガウディの人生にも影響を与えるが「すごく悩みました」と自問自答しながら演じている。

 沢田と過ごした稽古場の日々は「すごみのある時間だった」という。「(台本に)書かれているいろんなことが、沢田さんには思い当たるんだな、と思いました。ガウディが経験したこと…例えば若者に何を言うのか?とか、やり直したいことがあっても生き直すことはできないよな、とか。言葉のもつ説得力が、沢田さんが言っているように聞こえた」と振り返る。

 自身も6月にデビュー20周年を迎える。「30代がすごく苦しくて、人に期待する気持ちを捨てられなかった。でもやっと自分以外は他人であると思えるようになって。

だから今の仕上がりは気に入っています」と40代を迎え心が定まったという。「ここからは自分が作ったものをとにかく残していけたらいいかな。それを20年前の自分が見てどんな顔をするのか、少し見てみたいですけどね」と今作のガウディに重ね、20年の歩みに思いをはせた。

(宮路 美穂)

 ◆中村 中(なかむら・あたる)1985年6月28日、東京都出身。40歳。10代から音楽活動を始め、2006年にシングル「汚れた下着」でデビュー。セカンドシングル「友達の詩」の発売時にトランスジェンダーであることを公表し、同年のNHK紅白歌合戦に初出場。役者業でも活躍し、近作に映画「ブルーボーイ事件」、Netflix映画「This is I」など。6月19日に東京国際フォーラムで20周年コンサートを行う。

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