大阪・関西万博は、まだ終わっていなかった! 吉本興業のイベント「シャイニング盆踊り with DJ KELLY」が22日、大阪・森ノ宮のクールジャパンパーク大阪TTホールで開催され、万博の「よしもと waraii myraii館」で世代を超えた一体感を生み出した「カラオケ盆踊り」のステージが再現された。

 出演したのは「カラオケ盆踊り」の“神4”とあがめられたレイザーラモンと藤崎マーケットほか。

約700席は発売と同時に「即完」(MCの「アイラブ地球」コウノ・オブ・ザ・イヤー)したといい、万博閉幕から5か月が経過しても人気に衰える気配はない。やはりMCの浅越ゴエも「この盛り上がり。万博協会も知らないと思います」と言うほどだ。

 しかしなぜ、今さら「カラオケ」と「盆踊り」なのだろうか。吉本興業の担当者は振り返る。

 「カラオケ盆踊りは、4月の万博開幕当初から人気があったわけではありません。誰も歌ってくれないから、イタリア館の男性スタッフがマイクを握り続けるような状態でした。ところが初夏の頃、ある一般男性がTikTokで『楽しかった』旨を投稿したところ、うわさを聞いた他のTikTokerも追随。一気に輪が広がったのです」

 そんなに大きなフォロワー数を持っていたわけでもない人物のSNS投稿が起点となり、閑古鳥が鳴いていた会場は連日の超満員。まさに令和を象徴するようなストーリーで“突然変異”が起きたのだ。そして一般人がカラオケを歌い、一般人と芸人がやぐらを回って踊る。シンプルな仕掛けが一大ムーブメントと化した。

 この日も一般参加者が「学園天国」や「タッチ」や「ultra soul」など、ちょっと懐かしい楽曲を熱唱。観客は自由に舞台に上がって舞い踊り、あるいは自席からサイリウムを振って、見知らぬ歌い手に声援を送る。芸人たちは、いわゆる“客席降り”だ。レイザーラモンRGは「転売失敗席」と名づけた空席で立ち上がり、ファンをあおる。「藤崎マーケット」トキはファンのスマホを奪い取り、勝手に2ショット画像や動画を撮影する。その間、観客は撮影OK。会場のボルテージは上昇一途だった。

 観客の男女比は男3:女7程度で、30~40代の女性がコアな層。特筆すべきは万博公式キャラクター「ミャクミャク」グッズを“いまだに”身につけている人が多かったことだ。「ミャクミャク」のサングラス姿の大阪市の40代女性は「ホンマに万博と(吉本館の)カラオケ盆踊りが楽しかったんです~。閉幕した時はロスになってたんでですけど、また万博の楽しさをよみがえらせてくれるイベントを開いてくれて、生き返りました~」と恍惚(こうこつ)の表情を浮かべていた。「カラオケ盆踊り」は、ロスに陥った大阪・関西の人々(主に30~40代女性)を、懐かしい万博の熱狂へと引き戻す装置なのだ。

 吉本興業としても「カラオケ盆踊り」を収益の柱に育てたい様子。万博期間中に大阪城公園で開催された大阪市主催の「大阪グルメEXPO」でも連日、盆踊りが行われ、昨年12月にはTTホールで第1回の「シャイニング―」も上演された。さらにレイザーラモンRG主催の盆踊りイベントを8月15日に大阪・Zepp Osaka Baysideで、同月28日には東京・豊洲PITで行うことが、この日発表された。

 トキは観客に「オマエらを京セラドームに連れてってやるよ!」と絶叫。RGも「各地のお祭りに(俺たちを)呼べ、コラァ!」と拳を突き上げた。明治~大正にかけて、大阪の寄席小屋では河内音頭が大流行。黎明(れいめい)期の吉本も例外ではなく「エンヤコラセ、ドッコイセ」が巨大お笑い企業の礎を築いたと言っても過言ではないだろう。その先祖返りのような「カラオケ盆踊り」。マレーシアやブラジルなどの諸外国でも日本式の盆踊りが人気を集めるご時世で、スタンダードな興行として定着する可能性は大いにある。

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