◆センバツ第7日 ▽2回戦 神村学園1―2智弁学園=延長10回タイブレーク=(25日・甲子園

 143球を投げ抜いたエースは体を思い切り反らし、ほえた。体中で、優勝したようなガッツポーズ。

智弁学園・杉本が堂々と「春の主役」をアピールした。最後はタイブレーク。10回1死二、三塁から1点差を守り抜き、「負けたくない気持ちを前面に出した。延長戦にもなって、強いチームに勝てて喜びが出ました」と、感情を爆発させた。

 初回に先取点を与えたが、なおも1死二、三塁を切り抜け、2回から6回は無安打。「野手を信じていた」と、終盤勝負に持ち込んだ。この日最速146キロの直球はもちろん、冬に覚えたカーブや大会直前に習得したカットボールも駆使して10回4安打1失点。昨秋の公式戦では47回2/3で68奪三振を記録した本格派だが、「秋は直球とスライダーで押したけど、狙われるので。球速は求めない。相手にとって嫌な投手になりたい」と幅を広げた投球で、2戦続けて完投を飾った。

 1年夏に甲子園デビュー。一転、2年は春夏ともに出場がなく、一度はエースの座も失った。

その間に沖縄尚学・末吉、横浜・織田ら同世代が大活躍。今大会の前から対抗心を燃やしていた。2人は初戦敗退。山梨学院・菰田も骨折に泣くなか、最速149キロ左腕がニューヒーローに名乗りを挙げた。1回戦で、花巻東(岩手)を129球で3安打完封。横浜を完封した神村学園・龍頭とのシャットアウト対決も制した。

 「高校野球に興味がなかった」という中学1年の夏。智弁学園が甲子園で準優勝した。「たまたま見た」というエース西村王雅(元東芝)に憧れ、心に火が着いた。その先輩が引っ張った21年以来、5年ぶりの春8強。「(疲れは)大丈夫。全部投げるつもりです。

自分たちの戦いをして日本一を」と宣言した。聖地でのタイブレークは23年夏の1回戦と24年夏の1回戦に続き、3戦3勝とした近畿の名門。強豪がそろった激戦ブロックを抜け出す。(安藤 理)

 ◆杉本 真滉(すぎもと・まひろ)2008年7月8日、兵庫・明石市生まれ。17歳。鳥羽小1年から軟式の枝吉パワーズで野球を始め、野々池中では硬式の神戸中央シニアで複数の全国大会に出場。智弁学園では1年夏からベンチ入りし、甲子園の準々決勝・京都国際戦に先発して3回途中無失点。1年秋から背番号1。177センチ、86キロ。左投左打。

 〇…智弁学園・逢坂悠誠が、甲子園での親子打点を達成した。6回2死で遊撃内野安打を放ち、8回1死三塁で同点の中犠飛。

「何度も好機で点が入らなかった。あそこは絶対に」と、4番の仕事を果たした。父・優友(ゆうすけ)さん(42)も智弁学園の三塁手として、01年の春夏に出場。適時打も放った。父に並ぶ2勝目を挙げた2年生は「お父さんに負けたくない。次も好機で打って『超えた』と言いたい」と意気込んだ。

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