◆センバツ第9日 ▽準々決勝 智弁学園12―8花咲徳栄(27日・甲子園

 4強が出そろった。智弁学園(奈良)は、投打の主力の活躍でセンバツ史上最大得点差となる8点差からの大逆転勝利。

花咲徳栄(埼玉)を下し、初優勝した16年以来、10年ぶりの4強入りを決めた。28日は休養日。29日に準決勝が行われる。

 智弁学園が球史に残るドラマを演じた。センバツ史上最大となる8点差からの大逆転。ハイライトは5回だ。声をからし、興奮の涙まで流れたベンチに向かって、志村叶大(かなた)が拳を突き上げた。1点差に迫り、なおも2死一、三塁で右中間へ。「どこよりも絶対に振ってきた。つないで自分たちの野球をしたら、絶対に勝てる」と、2点二塁打でひっくり返した。

 2回表を終えて0―8。絶望的な展開から4回までに6点を返した。

5回に1点差に迫り、エースの黒川凌大が投入されたところを志村が打ち砕いた。チームで最も小柄な161センチ。毎日2000スイングをこなしてきた2番打者が「大きい人にパワーは負けても、気持ちは絶対に負けない」とバットに思いを乗せた。

 試合前に小坂将商監督(48)がキーマンに挙げた一人。指揮官は大会前、志村と八木颯人の二遊間を呼んだ。主将の角谷哲人に続くリーダーに指名。振る舞いを絶賛してきたが、改めて「志村さまさま」とたたえた。試合中も「どんどん(気持ちを)上げていけ」とナインを鼓舞した背番号4。見事に主役もさらった。

 大黒柱も反撃ムードを高めた。1点を返した直後の3回からプロ注目左腕の杉本真滉が登板。「流れを変える」と、7回3安打無失点で強力打線を止めた。

1回戦は花巻東を129球で完封し、2回戦も神村学園との延長10回を143球で完投。中1日でリリーフ待機したが「状態が良くて直球で押せた」と圧倒した。

 エースは「やっぱり、やってくれる。その一言」と、誇らしげに仲間を見た。特に「志村は一番信頼している」。2人は1年夏の甲子園を経験した投打の柱。志村も「球場全体の雰囲気を変えてくれる。尊敬します」と左腕に最敬礼した。小坂監督は「どないしよかと思った」というスタートから「1点ずつ取れば、甲子園は空気が変わる」と声をかけ続けた。同校の甲子園通算50勝の節目に、自身も史上19人目の30勝目。忘れられない1勝で、初優勝した16年以来の4強入りを決めた。(安藤 理)

 ▼甲子園3度目の8点差逆転勝利 智弁学園が最大8点差をひっくり返し、逆転勝利。

甲子園では、97年夏1回戦(対文徳)・市船橋(スコア1―9→最終17―10)、14年夏1回戦(対藤代)・大垣日大(0―8→12―10)に並ぶ、3度目の最大得点差逆転勝利。

 センバツでは、76年1回戦(対大社)・習志野、92年1回戦(対読谷)・仙台育英、01年2回戦(対南部)・常総学院の7点差を上回り、初の最大8点差逆転勝ちになった。

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