フィギュアスケート ▽世界選手権 第3日(27日、チェコ・プラハ)

 女子フリーが行われ、ミラノ・コルティナ五輪銀メダルでショートプログラム1位から出た坂本花織(25)=シスメックス=が158・97点、合計238・28点で優勝した。フリー、合計ともに4年ぶりに自己ベストを更新する今季世界最高得点で、浅田真央を超える日本勢最多4度目のV。

現役最後の試合を有終の美で飾った。千葉百音(20)=木下グループ=が合計228・47点の銀メダルで、坂本とのワンツーフィニッシュを決めた。

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 坂本が現役最後に流したのはうれし涙だった。4度目の頂点に立った世界選手権の表彰台、左頬を一筋伝うと、涙腺は崩壊した。金メダルを胸に、選手として氷上に別れを告げる。「晴れやかな気持ちで競技から退ける。すごく幸せ」。笑顔の戻った会見では、日本勢最多4回の優勝を誇りに喜びをかみしめた。

 現役ラストダンスは「愛の讃歌」。2位の千葉百音が「かおちゃんの代名詞」というダブルアクセル(2回転半ジャンプ)や、ミラノ五輪でミスが出たフリップ―トウループの連続3回転ジャンプなど7つのジャンプ全てを成功した。表現力を評価する演技構成点(スケーティング技術、演技力、構成)は全ての要素で10点満点があり、ジャッジの1人は3要素全てに異例の10点を付けるほど。「本当に、キリのいいタイミングで退けるので。

(心境は)フリーの(編曲の)3曲目です。『何も後悔はしてない』という意味」。4年ぶりの自己ベストで、21年間の競技生活を締めくくった。

 唯一無二のスケーターとなった。4歳から始めたフィギュアスケート。幼稚園の時は習っていたダンスをやめた。理由は「色んな人に見られるのが、嫌だもん」。ただ氷上は違った。「360度、人がいるのは気にならなかった。広いし」。アイスリンクの申し子だった。シニアでは4回転ジャンプなどを跳ぶロシア勢との争いに「一緒の場所で争うのは怖い」と漏らしたこともあった。

そして武器として磨き上げた、完成度と表現力。25歳、晩年に大きく花開いた。

 五輪3大会連続出場や2大会連続ダブルメダル、世界選手権3連覇など数々の歴史を刻んだ。ミラノ五輪の銀を受け、出場を決めた世界選手権。「終わりよければ、全てよし」と、約束通りの結果で終えた。今後は指導者の道に進む。昨年の全日本選手権、坂本は「人生、虹色」と言った。「これからの人生は、ちょっと虹色に、ラメを足しておきます」。第2のキャリアはもっと輝かせる。

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