フィギュアスケートの今季最終戦、世界選手権(プラハ)が閉幕した。2月のミラノ・コルティナ五輪ではペアで「りくりゅう」こと三浦璃来(24)、木原龍一(33)=木下グループ=組が日本史上初の金メダルを獲得するなど、五輪シーズンに日本勢が躍動。

同種目で2014年ソチ五輪代表の高橋成美さんが今季を総括し、次世代を担う長岡柚奈(20)、森口澄士(24)=木下アカデミー=組に「大きなプレッシャーを感じて(笑)」と熱いエールを送った。

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 ミラノ・コルティナ五輪での日本勢の活躍から1か月、今回の世界選手権でも大きな盛り上がりを見せてくれました。坂本花織選手のラストダンスや、鍵山優真選手はショートプログラム(SP)のアクシデントから感動的なフリーでの演技。ペアの「ゆなすみ」が4位入賞など、五輪から期間が開かない間に再びいい結果を出すことが出来たのは、スケート界が盛り上がる上で「トドメの一発」となったように思います。

 「ゆなすみ」はSP、フリーともにメダルに迫る勢いを感じた演技でした。五輪が終わり今季最後の試合となりますが、五輪を区切りと考えれば次のオリンピックに向けての第一歩。そういった意味で、最高のスタートを切れたと思います。

 2人の伸び代は、スロージャンプにあります。練習を見ていても、まだ成功する確率は高くありません。演技では、リフトなど他の自信のある技に比べて構えが長くなり、スピードも落ちてプログラム全体のバランスが崩れてしまうという課題があります。「ゆなすみ」は何せ、他の技の成長スピードが速すぎてスロージャンプだけが追いついていないような状況。練習での確率を上げて自信が付けば、表現力や技術面での評価も上がり、点数は一回り、二回りも上がると思います。

世界でのメダル争いにとどまらず、1位、2位に食い込んでくるポテンシャルを秘めています。

 今シーズンは、ミラノ・コルティナ五輪で「りくりゅう」ペアが日本史上初の金メダルを獲得しました。私はこれから、国内で新たなペアやカップルが誕生することを期待しています。私が競技者時代にも、潜在的にカップル競技に進みたいと思っている選手はいました。ただ、具体的にどう動いたらいいのか、誰に相談したらいいかが分からず、一歩踏み出す空気感、環境がなかなか整っていませんでした。今回の金メダルによってペアの認知度は上がり、新たに挑戦する選手が応援される雰囲気が作られたと思います。それは選手にとっても大きなモチベーションとなります。この盛り上がりが、行動に移す大きなきっかけとなると確信しています。

 「りくりゅう」ペアの今後については定かではありませんが、ペアの盛り上がりという点においては、現在国内で2番手にいる「ゆなすみ」は大きな役割を担っています。1度の、1組だけの金メダルでは「伝説のペアがいた」という一つの歴史になってしまいますが、次世代が続くことで「りくりゅう」の金メダルを歴史の始まりとすることが出来ます。伸び代とポテンシャルは十分。2人には、大きなプレッシャーを感じてほしいと思っています(笑)。

 主に国内で練習する「ゆなすみ」が結果を出したという点も、大きな意味があります。私の以前の所属先である木下グループさんのサポートで、カップル競技の環境はガラッと変わりました。当時の私にとっては、もちろん練習環境の確保や経済的な面でのサポートなどが大きな支えとなりましたが、何より応援されているという実感が、自分の中に誇りや頑張っていこうという気持ちを芽生えさせました。ハード面だけでなく、ソフトな面でも力になります。日本のカップル競技発展において、なくてはならない存在だと思っています。

 今後のペアでは、国内で切磋琢磨し、全日本選手権でヒリヒリした戦いを見る状況になることを期待したいです。ワクワクだけでなく、誰が勝つのかという真剣勝負の楽しさを、ファンの方にも味わって欲しい。ペアでそういった状況が生まれるようになれば、フィギュアスケートの魅力もより広まっていくのではないかと思っています。(2014年ソチ五輪代表)

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