来年1月に任期満了を迎える宮崎県知事選に出馬する意向を固めた元同県知事の東国原英夫氏(68)が30日までに都内で取材に応じ、宮崎の未来について語った。九州内の地域格差、観光の停滞、外国人労働者の必要性、行政のAI化、新幹線構想まで披露した。

現職の河野俊嗣氏(61)が5選を目指し、出馬すると表明している。前回2020年12月の知事選では、異例の「現職VS元職」対決となり、事実上の一騎打ちに。大激戦を演じたが、約2万3000票差で敗れている。元県議の右松隆央氏(57)も立候補を表明している。

 

 ―決戦を迎える心境は。 「平常心です。3年前から決めていたことでもあり、もともと選択肢の一つでした。ですから、『いよいよだ』という高揚感が特別にあるわけではありません。ここまでの3年間の活動の延長線上に、今があるという感覚です」

 ―この3年間、地元・宮崎をかなり回ってきたそうですね。

 「You Tubeの撮影も含めて、さまざまな地域を回り、ごあいさつもしてきました。そうした中で、宮崎の現状や地域ごとの空気感に触れる機会は多かったですね」

 ―九州の中での宮崎の位置付けは? 福岡県に勢いがあるように思うが。

 「九州には、昔から東西格差と南北格差があります。

北の方が栄え、西の方が新幹線も含めて活力がある。その中で東南に位置する宮崎は、どうしても活力に欠ける側に置かれてきました。歴史的にも『陸の孤島』と呼ばれた時代があったほどです」

 「かつては新婚旅行ブームで『日本の南国』としてにぎわいましたが、沖縄の返還や海外旅行の一般化で、その立ち位置は変わりました。それでも宮崎は『ちょうどいい南国』としての魅力を持っている。問題は、その価値をどう現代的に再構築するかです」

 ―宮崎の基幹産業の現状をどう見ていますか。

 「今も農林水産業と観光サービス業が基幹産業だと言われていますが、農業生産額は全国で5~6位だったのが、7位まで落ちています。観光も厳しい。特にインバウンドが非常に少なく、コロナ後の回復でも、ほかの都道府県ほど戻っていない。観光面でなおコロナ前の水準に達していないことが、県全体の活力を引き下げている面はあると思います」

 ―では、今後の政策はどのように打ち出していく考えですか。

 「今回は記者会見で細かな政策を一気に発表するつもりはありません。まずは全体の骨格を示し、その後はブロードリスニング、つまり幅広く県民の声を聞きながら、夏ごろまでに練り上げていくつもりです。改めて政策発表の場を設けたいと考えています」

 ―賛否を呼びそうな「目玉政策」もあるとか。

 「『目玉』というより、ハレーションが起きるような案はあります。賛否両論は出るでしょう。ただ、それをそのまま出すかどうかも含めて、県民の意見を丁寧に聞きながら最終的に判断したい。政策は、一方的に押し出すだけではなく、対話を通じて仕上げるべきだと思っています」

 ―現職の河野氏は5選を目指すとしています。首長の任期、多選の是非についてはどう考えますか。

 「私はもともと、多選はあまり良くないと考えています。長く続けば、弊害や閉塞感、硬直化が生じやすい。県民がどう判断するかは別として、少なくとも私はそう思っています」

 「首長としての一つのスパンは10年くらいではないかとも感じています。今の4年任期は少し短く、8年だと、やや中途半端。むしろ1期5年で2期まで、というような仕組みの方が、為政者にとってもわかりやすいのではないか。そんな考えを持っています」

 ―では、10年後の日本、宮崎をどう見通しますか。

 「日本全体では人口減少がさらに進むでしょう。

宮崎も例外ではありません。その中で、外国人労働者の存在は今以上に重要になると見ています。宮崎では、企業に話を聞くと、すでにベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマーなどから人材を受け入れている。実際には大きな軋轢(あつれき)は少なく、地域として極端な拒否感もそれほど強くないと感じています」

 ―労働力不足への対応として、AIやロボット化はどこまで進むと見ていますか。

 「生産性を上げるには、デジタル化、ロボット化、AI化は待ったなしです。10年後には、単純作業の2割から3割くらいはロボットが担っていてもおかしくない。行政も同じで、役所の事務も2割、3割はAI化・自動化していく必要があると思っています。そうなれば効率が上がり、残業も減り、余暇も増える。労働人口が減っても、社会を回していく余地が生まれます」

 ―前回知事選では宮崎の将来インフラとして、新幹線にも言及していました。 「宮崎県の10年後を考えたとき、新幹線を通しておかなければならないと思っています。今の時代は、20年、30年かけてゆっくり考える余裕がありません。新幹線を通すためには、その前提として何が必要かを逆算しなければいけない。

人の流れをどう作るのか、何を整えるのか、そこまで含めて考える必要があります」

 「(10年後)人口は90万人程度になるかもしれません。そのとき、26市町村がどう持ちこたえているのかが大きなテーマになります。特に中山間地域をどう支えるか。自動運転、ロボット、ドローン、デジタル化、AI化をどこまで実装できるかが、地域の持続可能性を左右すると思います」

 ―宮崎には伸びしろがある、と。

 「私は、宮崎にはまだまだ潜在能力があると思っています。現状に課題があるということは、裏を返せば伸びしろが大きいということでもある。言ってみればブルーオーシャンです。リニアモーターカーの実験は、もともと宮崎で進めていました。先端技術の実証実験を受け入れる土壌が以前からあったのです。だったら今こそ、地方の中山間地域における自動運転、AI化、ライドシェアなどの実証実験を積極的にやるべきだと思います。『実験場』という言い方は聞こえがよくないかもしれませんが、未来のモデル地域になると思います。

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