◆センバツ第10日 ▽準決勝 智弁学園2―1中京大中京(29日・甲子園

 智弁学園(奈良)が中京大中京(愛知)との強豪対決を制し、初優勝した16年以来の決勝進出を決めた。プロ注目のエース・杉本真滉投手(3年)が1失点(自責0)で完投勝利。

今大会4勝目を挙げ、主役の名に恥じない投球で頂点まであと1勝に迫った。大阪桐蔭は専大松戸(千葉)との接戦を制し、4年ぶりの決勝進出。春夏通じて初の3試合連続1点差勝利と勝負強さが光った。30日は休養日。奈良対大阪の決勝は春夏通じて初で、31日午後0時半にプレーボールとなる。

 執念で逃げ切った。1点リードの9回2死一、二塁。打球を左すねに受けた杉本は、一塁方向へ転がった打球を必死で追った。拾い上げると、すぐさま逢坂悠誠にトスしてゲームセット。一打同点の場面を身をていして防ぎ、智弁学園を10年ぶり2度目の決勝に導いた。「顔に当たっても捕るという気持ちが出た。エースの意地というか、死んでも取られないぞと。

(痛みは)全然。打撲もないくらいだと思う」。最終回にこの日の最速147キロをマークし、137球の1失点完投。左腕は気持ちよさそうに汗をぬぐった。

 再三のピンチをしのいだ。3回までに被安打4。直球が狙われていることに気付くと、緩急を生かす配球に切り替えた。チェンジアップに加えて「芯を外す意味でのカットボールがよかった」。走者が出ると要所でギアを上げ、4回以降は3安打無失点。背番号1の踏ん張りが終盤の勝ち越しにつながった。

 杉本は今大会の4試合で35回を2失点(自責1)、防御率0・26と驚異的な投球成績を残す。智弁学園の投手の甲子園1大会4勝は、優勝した16年春の5試合を一人で投げ抜いた村上頌樹(阪神)以来、2人目となった。

「新チームになって全てにおいて意識を変えた」と頼もしく話すエースの成長を、小坂将商監督(48)は「村上に似ている。コントロールが良くなったし、普段のトレーニングも黙々とこなす。人間的にも大人になった」と称賛した。

 同校で化学科教諭として43年、野球部部長として約20年、選手と関わってきた井元康勝さん(75)が今月末で退任となる。「ずっとお世話になっている。最後にいい思いをさせてあげたい。チーム一丸となって全力でいきたい」と杉本。恩師の花道を飾り、自身も世代の主役に躍り出る。(吉村 達)

 ▼チーム左腕最多の1大会4勝 智弁学園が初優勝した16年以来、10年ぶり2度目の決勝進出。エース左腕・杉本真滉が1失点完投勝利。今大会のチーム4勝すべてをマークしている。智弁学園の投手で甲子園1大会4勝以上は、16年春に5試合すべて完投(2完封)で5勝し、優勝投手になった村上頌樹(現阪神)以来、2人目。

左腕では95年夏・池田博之(日本通運)の3勝を抜き、最多勝になった。

 ▼奈良対大阪の決勝対決は初 決勝進出は智弁学園と大阪桐蔭。奈良県勢と大阪勢の決勝顔合わせは、春夏通じて初。奈良対大阪の甲子園対戦成績は、4勝4敗(春は奈良の2勝1敗、夏は2勝3敗)。智弁学園は大阪勢に○○。大阪桐蔭は奈良県勢に○●。両校の対戦は、21年春1回戦以来、2度目。前回は8―6で、智弁学園に軍配が上がったが、今回はどうか。

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