【ロンドン(英国)29日=金川誉】
スコットランドに1―0と勝利した日本代表は、ロンドン・ウェンブリースタジアムでのイングランド代表戦に向け、ロンドンでのトレーニングを開始した。FIFAランク4位イングランド代表の中心は、現代最高のストライカーと賞されるFWハリー・ケーン(32=ドイツ1部バイエルン)だ。
188センチの長身から放つヘディングに、正確無比な右足、さらに左足。中盤でゲームメイクに関わったかと思えば、ゴール前で当然のようにネットを揺らす。それがハリー・ケーンの日常だ。今季、ドイツ1部バイエルンでは公式戦40試合48ゴール。イングランド代表でも歴代最多の110試合76ゴール。このゴールマシンをいかにして止めるかが、試合の鍵となることは間違いない。
センターバック(CB)のDF渡辺剛は「今まで自分がマッチアップしてきた選手と違い、色々なところに顔を出して、試合を作ったり試合を決め切る選手。正直どうなるかわからないですけど、しっかりチームとして意識しながら、彼をうまく自由にさせないようにしたい」と話した。
ストライカーとして数々の武器を持つケーンだが、大きな特徴のひとつが、中盤に下がった位置から効果的にゴールを生み出すプレーだ。するすると中盤に下がり、マークするCBがついてこない、と思えばシンプルにパスを引き出して起点を作り、相手を押し込んでゴール前で勝負する。
森保ジャパンはハイプレスで相手の攻撃を制限する際、相手センターFWとCBはマンツーマンとなるシーンが出てくる。マークする選手を責任を持って潰すことで、守備のエネルギーを一気に攻撃へと転換する狙いだ。しかしキープ力やターンの技術にも優れたケーンが中盤へと下がった場合、ただガツガツとCBが潰しに行けば、逆手に取られてしまう可能性が高い。しかしマークを中盤に受け渡そうとすると「誰がマークするのか」問題が勃発し、ぽっかりと開いたスペースでフリーにしてしまうケースもある。
「彼に関してどこまで(中盤に)落ちるか、ちょっと想像できないので、どこまでが自分の範囲かは、試合前までに明確にしたい。(マークを)離して前を向かれたらピンチになりますし、難しい。マンツーマンでやっている自分たちとしては嫌な動きだし、今までそこまで自由に動いてくる選手はマッチアップする中でいなかったので、試合中でも話しながら、対応を変えていかないといけない」と警戒心を強めた。
またCBとともに、中盤の監視役を担うのはMF佐野海舟だ。ブンデスリーガでバイエルンとの対戦経験もあるボランチは、中盤まで下がってくるケーンのマークを、CBから受け取るタイミングについて、臨機応変を強調した。「それはシーンによって変わると思う。受け渡し、誰がどこまでついていくのかは、一瞬の判断。
また同じく長身ストライカーとして、ゲームメイクの部分などでケーンを参考にするFW後藤啓介は「シンプルに落ちて(パスを)はたいて、もう1回(ゴール前に)入っていく時に、相手の目線の外から、死角からゴールを奪っている。シュート技術もすごく高い」と語る。簡単に奪っているように見えるゴールは、相手の目線、死角を見定めた上での動きだしと分析した。
ポジショニングで相手の迷いを誘い、先手を取れば目線の外側への動きだしでフリーとなり、世界一のシュート技術で射抜く―。それがケーンの真骨頂だ。世界最高ストライカーとの対戦経験が、森保ジャパンにとってさらなる成長へのきっかけとなることは間違いない。

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