整備されたはずのルールが、現場では機能していない。そんな違和感を裏付けるデータが浮かび上がった。

株式会社アスマークが全国の有職者1万人を対象に、2026年1月22日から28日にかけて実施したハラスメント・コンプライアンス調査では、4人に1人が「自社の規定を全く知らない」と回答。制度が存在していても、当事者に届いていない現実がある。

 特に注目すべきは、対策の「形骸化」を示す逆転現象だ。企業側の評価点数は上がる一方で、従業員の意識スコアは低下。形式的な整備と、実感としての安心感の間にギャップが広がっている。さらに、この6カ月でハラスメントを見聞きした割合では、パワハラが12%に対し、新たに加わったカスタマーハラスメント(カスハラ)は10%と肉薄。顧客対応の最前線にも新たな火種が広がる。

 深刻なのは「何もできない」心理だ。パワハラ被害後に行動を起こさなかった人の約半数が「何をしても無駄」と回答し、「不利益を被るのでは」との懸念も上位に並ぶ。20代では「我慢すればよい」といった自己抑制の傾向も他世代より10ポイント以上高く、問題の内面化が進んでいる。

 また、「現場の悪い情報が上層部に届いていない」と感じる人は35%。制度と現場、上層と下層の間に横たわる見えない壁が、コンプライアンス違反やハラスメントの温床になりかねない。

対策の有無ではなく、機能しているかどうか。数字は、その問いを静かに突きつけている。

編集部おすすめ