◆米大リーグ ブルージェイズ5ー2アスレチックス(29日、カナダ・トロント=ロジャーズセンター)

 ブルージェイズ・岡本和真内野手(29)がメジャーデビュー3戦12打席目にして初アーチを放った。29日(日本時間30日)の本拠アスレチックス戦に「5番・三塁」でスタメン出場すると、4回無死から逆方向の右中間へ豪快なソロをたたき込んだ。

開幕3戦すべてで安打をマークした岡本の活躍もあり、チームは3連勝。30日(同31日)にはロッキーズ・菅野智之投手(36)との“巨人対決”に臨む。

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 最高の感触だった。岡本は右中間席へ伸びる打球を確信を持って見つめていた。待望のメジャー初アーチ。この景色を追い求めてきた。ダイヤモンドを軽やかに一周し、ベンチ前でゲレロとお辞儀ポーズ。そのままブルージェイズ名物の色鮮やかな「ホームラン・ジャケット」に袖を通すと、顔がほころんだ。

 「まず一本出て良かった。日本の時からジャケットを着るのがかっこいいなと思ってた。チームに入って初めて着られて良かった」

 3点リードの4回先頭。1ボールから先発右腕・モラレスの真ん中低め96・4マイル(約155・1キロ)直球をしばき上げた。

デビューから3戦、12打席目での一撃。「試行錯誤しながらやってきた」。右中間深くまで運ぶ飛距離420フィート(約128メートル)のアーチにファンも総立ち。割れんばかりの歓声が心地良かった。

 この場所に立ちたかったから挑戦した。メジャーを志した原風景は幼少期の兄の部屋にある。壁一面にメジャーリーガーたちのシールが貼られていた。憧れはいつしか明確な目標へと変化。ようやくたどり着いた舞台ではピッチクロックや動くボールなど多くの適応が求められた。その「違い」を受け止めた上で、言い聞かせた。「僕は僕で変わらない」。幼少期から日本で培ってきた根幹は揺るがなかった。

 ぶれなかったのは愚直な取り組みがあったから。23年WBC。世界一に上り詰めるまでともに戦った大谷から直接授かった“金言”がある。「フィジカルがないと、つけたい技術があってもそれが体現できないよ、と」。技術を追い求めてもそれを受け止める器がなければ宝の持ち腐れ。世界最高峰の舞台で世界最高の選手と言われる二刀流の肉体論は魂を揺さぶった。

 迷いはなかった。すぐに行動に移した。「体がないと技術も使えない。下地がないと成功しない。トレーニングももっとやろう」。かねて熱心だったトレーニングはより繊細かつハード。

食生活も変わった。好物の揚げものなどの姿は減った。ドレッシングにも気を配った。筋肉量は増加し、体脂肪率は4%以上も減った約14%以下に。改革は血肉となった。研ぎ澄まされた肉体で剛球を完璧に粉砕した。

 30日(日本時間31日)は巨人時代のチームメートであるロッキーズ・菅野との初対戦。「楽しみたい」と心待ちにする。3戦連続安打の好発進だが、満足感はない。「まだ始まったばかり。いい準備をしたい」と繰り返した。巨人の主砲から世界の「OKAMOTO」へ。

新たな物語に鮮烈な1ページが加えられた。(宮内 孝太)

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