【ロンドン(英国)30日=金川誉】サッカーの聖地、ウェンブリー・スタジアムに、指揮官の静かな、しかし熱を帯びた声が響いた。イングランド戦を翌日に控えた30日の公式会見。

森保一監督は、この歴史的舞台での一戦を、さらなる大きなステップとする野心をのぞかせた。

 「世界トップクラスのイングランドと戦える中で、W杯優勝基準、世界トップ基準で何ができるか、厳しい戦いを通じてみせていきたい」

 FIFAランキング4位のイングランドに対し、日本は18位。地元記者から「日本はW杯のダークホースだが、国内では優勝の可能性をどう見ているのか」と問われた際、森保監督はよどみなく答えた。

 「ほとんどの人は、(優勝)できないと思っていると思います。ただし現実的に、絶対にチャンスはあると思います。イングランド代表は、(W杯優勝の)本命。我々はダークホースで、優勝を狙う。目標を持つことで日本人は絶対にたどり着ける、と思っています」

 指揮官の思いは、ピッチ上の選手たちにも深く浸透している。今遠征でキャプテンマークを巻くMF堂安律の言葉からは、勝利への執念がにじむ。

 「僕は勝つためならなんでもいい。綺麗なサッカーじゃなくても、相手の嫌がるサッカーでいい。自分たちがやりたいことはありますけど、勝利の鉄則は相手の嫌なことをやること。

相手の嫌なことをやっていきたい」

 イングランドは、ドイツ人のトーマス・トゥヘル監督が就任し、強烈なゲーゲンプレスで敵陣に押し込むスタイルを鮮明にしている。堂安は「これまでトライしてきたビルドアップが試される。プレスをいかにはがし、ファイナルサードへ持ち込めるか」と語る一方で、ショートパスに固執せず、ロングボールを交えた攻略も辞さない構えだ。

 また、クリスタルパレスの一員としてこの聖地でFA杯制覇を経験しているMF鎌田大地は、泰然自若としている。「いつも通りやるということと、自分が仕掛けたタイミングで1ついいプレーができると、一気に気持ち的にも楽になるので、怖がらずにやることが大事かなと」。酸いも甘いも噛み分けた男の言葉には、大舞台特有の重圧を感じさせない説得力があった。

 イングランドは、W杯1次リーグ初戦で激突するオランダを想定した格好の試金石だ。欧州の列強が「本気」でぶつかってくる聖地での90分。22年カタールW杯以降、優勝経験国との対戦成績は4勝1分けと無敗の森保ジャパン。聖地で得るのは、単なる経験か、あるいは世界を震撼させる「優勝への自信」か。真価を問う運命のホイッスルは、刻一刻と近づいている。

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