◆米大リーグ ブルージェイズ5―14ロッキーズ(30日、カナダ・トロント=ロジャーズセンター)

 18・44メートルを隔てて、元ジャイアンツのエースが、元ジャイアンツの4番と対峙した。互いに目は合わさない。

2回2死での第1打席。菅野智之はフルカウントからの7球目、カットボールで岡本和真のバットに空を切らせた。「特別な感じはやっぱりありました。絶対に抑えたいと思っていました」

 5回先頭の第2打席はフルカウントから8球目。外角へのカットボールは四球の判定で、捕手グッドマンがチャレンジを要求した。ABS判定の結果わずかに1・8インチ(4・5センチ)外れて判定は覆らなかったが、持ち球を駆使した真っ向勝負だった。菅野が振り返ったのは、カウント2―2からの5球目。この日の最速94・5マイル(153キロ)の内角直球だ。

 「あのボールに手を出さない辺りがさすがだなと。僕の中でも渾身(こんしん)の1球だったんですけど、しっかり見逃してくる。間違いなく(メジャーで)活躍するんじゃないかと思いました」

 岡本を一塁に置いて2死を奪ったところで、この日同点ソロを浴びたスプリンガーに打席がまわり、勝利投手の権利まであと1死で降板した。「和真にやられた、という感じですね。

しっかり(アウトを)取っていれば、あのイニングを投げきれたと思うんで」と、分岐点となった打席を振り返った。

 全72球中、94マイル(約151・3キロ)超えは9球。うち8球が岡本の打席だった。かつての同僚、そして、メジャーの舞台で再会した後輩に、ギアをあげ、魂のこもったボールを投げ込んだ36歳。「和真のことは18歳の時から成長を見てきている。感慨深いものがありました」としみじみ言った。

 打球速度が100マイルを超えたのは、スプリンガーの本塁打だけ。力強い直球と精度の高い変化球を自在に散りばめ、昨年のア・リーグ王者の強力打線にハード・コンタクトを許さなかった。ブ軍戦は通算4度目。「相手も僕のことを知っている。ゲームプランが、コーチ、キャッチャーと一致していたので、いけるという手応えがありました」

 前夜、マイアミからのチャーター機が機材トラブルで遅延。トロント到着はこの日の午前3時半と過酷な移動になったが、ベテランの奮投に、打線も奮起。

6回の一挙7点などで、チームは開幕4戦目で待望の今季初勝利をもぎ取った。

 くしくも1年前の同日、オリオールズの新人としてメジャー・デビューを飾った場所で2年目がスタートした。「1年早いなと思いますね。時間の使い方や生活にも余裕がありますね。去年は一杯一杯だったが、今年はキャパが増えた。これも、あれもと思っちゃう性格なので、うまくバランスとりながら1年やれたらいい。自分の仕事を全うしたいと思っています。周囲が思っているほど弱いチームじゃない。皆パッションを持って、役割を理解してやっているので」。頼もしい言葉に充実感も漂った。

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