2022年の第98回箱根駅伝に初出場した駿河台大の一員として当時31歳で4区を駆けた今井隆生氏(35)が埼玉・鶴ヶ島市立藤中学校の教員を退職し、26年度から山梨学院高の駅伝チームの監督に就任することが31日、分かった。

 埼玉県教育委員会は30日に2026年度の小中高の教職員異動などを発表。

その中で、今井氏の退職も公表されており、注目の転身先は、昨年の全国高校駅伝で男子35位、女子28位の山梨学院高だった。2024年の全国中学駅伝で藤中の男子チームを日本一に、25年の同駅伝で女子チームを全国5位入賞に導いた「熱血教師」が26年度から高校の指導者として新たな挑戦を始める。

 今井氏は東京・大泉高時代は陸上部に所属し、都大会5000メートル10位が最高成績。2009年に日体大入学後、トライアスロンに転向。13年に卒業し、トライアスロン実業団チームのケンズ入り。16年に引退し、埼玉県の中学校教員に採用された。

 20年4月に「もっといい先生になりたい」という強い思いで、教員の「自己啓発等休業」を活用し、駿河台大心理学部3年に編入学した。同時に高校時代からの夢だった箱根駅伝出場を追いかけ、駅伝部に入部。1年目は予選会で敗退したが、ラストチャンスの2年目に駿河台大の初出場に貢献した。22年1月の本戦では4区に出走。区間最下位に終わったが、タスキを埼玉・越生中教師時代の教え子でもある5区の永井竜二(当時3年)に託した後、運営管理車から徳本一善監督(現芝浦工大監督)が「2年間、ありがとう。謝ったらブッ飛ばすから!」と独特の表現で今井氏をたたえたことは箱根駅伝史に残る名場面となった。

 22年4月、教師に復帰。飯能市立南高麗(こま)中学校を経て、23年4月に藤中に異動した。時には生徒と一緒に走るなど情熱的で、かつ、中学生にふさわしい無理のない科学的な指導を実践。走ることの楽しさを教えると同時に競技力の強化を両立させた。その結果、24年12月の全国中学校駅伝では男子チームは優勝、25年12月の同駅伝では女子チームを全国5位入賞を果たした。今井氏は「生徒の力は無限大です」と熱い涙を流した。

 駿河台大を卒業して、埼玉県の中学校教員に復職して4年。今井氏は、ひとつの区切りとして、高校の指導者への転身を決断。関係者によると、教え子たちには、中学校教員を退職することを伝えたという。

 駿河台大時代は全力で箱根への道を駆け、中学校教員として全力で生徒と向き合った「今井先生」は、新年度から山梨学院高校のランナーとともに都大路を全力で目指していく。

 ◆山梨学院高 1956年、山梨学院短大附属高として開校。62年、山梨学院大学附属高に校名を変更。

2016年、現校名に変更。2013年の全国高校駅伝で男子チームが優勝。野球部は春夏の甲子園に計16回出場し、23年春で全国優勝。サッカー部は全国高校選手権に9回出場し、2度全国優勝(09年度、20年度)。主なOBはサッカー日本代表の前田大然(セルティック)ら。

 ◆今井 隆生(いまい・たかお)1990年8月31日、東京・保谷市(現・西東京市)生まれ。35歳。大泉高では陸上部。2009年に日体大入学後、トライアスロンに転向。13年に卒業し、トライアスロン実業団ケンズへ。16年に引退し、その後、埼玉県の中学校教員に採用された。20年に休職し、駿河台大に編入学。

22年の箱根駅伝4区に出場し、区間20位。自己ベスト記録は5000メートル14分11秒10、1万メートル29分26秒99、ハーフマラソン1時間4分11秒。マラソン2時間19分24秒。165センチ、52キロ。

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