順大監督時代に箱根駅伝で4連覇を含む6度の優勝を果たした沢木啓祐氏(82)が26年度から東京国際大のアドバイザーに就任することが31日、分かった。選手、監督として大活躍した「ミスター順大」が82歳にして、今年の箱根駅伝で16位だった東京国際大の強化のために、新たな勝負に打って出る。

 沢木氏は、大阪・春日丘高2年時に全国高校総体で1500メートルと5000メートルで2冠。3年時は全国高校総体には出場せず、欧州遠征するなど超高校級の選手として活躍した。1962年に順大に入学。箱根駅伝では4年連続でエース区間の2区を走り、4年時には区間賞を獲得し、順大初優勝の立役者となった。

 得意とするトラック種目では世界レベルで活躍。1968年メキシコシティー、1972年ミュンヘン五輪に出場した。特に5000メートルでは1966年に英国で開催された大会で13分36秒2の日本記録で優勝。そのタイムはその年の世界ランク4位だった。1968年には5000メートルで13分33秒0まで短縮。当時のシューズや陸上競技場のトラックなどを考えると、驚異的な記録だ。

 1966年に順大を卒業した直後から現役選手としての活動と並行して母校のコーチに就任。指導者として後進の育成に尽力した。

1982年に監督に昇格。2001年に退任するまで20年間で、箱根駅伝では4連覇(1985~88年)を含め6度の優勝に導いた。監督ラストシーズンの2000年度には大学駅伝3冠に輝いた。抜群の調整力で下馬評を覆す逆転劇を度々、起こし、その卓越した手腕は「沢木マジック」と評された。

 沢木氏の「新天地」となる東京国際大は2011年に駅伝部が創部。大志田秀次監督(現明大監督)の指導の下、16年に箱根駅伝初出場。2021年の出雲駅伝で学生3大駅伝初優勝を果たした。2023年に大志田監督が退任した後、横溝三郎総監督が監督に就任したが、2024年11月に現役監督のまま84歳で亡くなった。その後、中村勇太監督代行がチームを率いている。

 2025年の箱根駅伝では8位と健闘し、シード権(10位以内)を獲得したが、今年1月の第102回箱根駅伝では16位に終わった。巻き返しの起爆剤として白羽の矢が立ったのが「名将」沢木氏だった。アドバイザーとして中村監督代行、小針旭人コーチと共に選手を指導する。

 理論と情熱を兼ね備えた82歳の沢木氏が再び箱根への道に向かう。令和の時代に「沢木マジック」が発揮されるか。2026年度の大学駅伝の大きな見所となる。

 ◆沢木 啓祐(さわき・けいすけ)1943年12月8日、大阪・吹田市生まれ。82歳。大阪府立春日丘高2年時に全国高校総体1500メートル、5000メートルで優勝。同3年時は日本選手権1500メートルで2位。1962年に順大入学。箱根駅伝では4年連続で2区を走り、3位、15位、6位、区間賞。4年時にはエースとして順大の初優勝に貢献した。66年に卒業し、母校のコーチ兼任で選手として活躍。68年メキシコシティー五輪、72年ミュンヘン五輪に5000メートル、1万メートルで出場。

1500メートル(67年、3分44秒5)、5000メートル(68年、13分33秒0)、1万メートル(68年、28分35秒2)の3種目で日本記録をマークした。現役引退後は指導者として専念。82~2001年まで監督を務め、その間、箱根駅伝優勝6回、全日本大学駅伝優勝1回、出雲駅伝優勝2回で学生3大駅伝計9勝。監督最終年の2000年度は学生駅伝3冠を果たした。監督を退任後、総監督、部長などを歴任し、2024年に名誉総監督を退任した。

 ◆東京国際大 1965年、国際商科大として創立。86年から現校名。駅伝部は11年に中大OBの横溝三郎総監督、大志田秀次監督体制で創部。箱根駅伝は16年に初出場して17位。最高成績は初のシード権を獲得した20年と22年の5位。21年出雲駅伝では学生3大駅伝初優勝。全日本大学駅伝は19年の4位が最高。

練習拠点は埼玉・坂戸市。タスキの色は紺青。主なOBは東京五輪1万メートル代表の伊藤達彦(ホンダ)ら。

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