◆JERAセ・リーグ 中日5―6巨人(1日・バンテリンドーム)

 巨人・田中将大投手(37)が今季初登板の中日戦で6回途中6安打2失点の粘投。90キロ台のカーブも交えた熟練の投球術を見せ、野茂英雄(近鉄、ドジャースなど)に並ぶ日米通算201勝目を挙げた。

打線は今季初めてスタメンに抜てきされた佐々木俊輔外野手(26)が6回にプロ初本塁打を放つなど、自身最多の3打点。7回に1点差とされたが、9回から登板した大勢が2日連続セーブを挙げて逃げ切り、貯金1とした。

 伝説には続きがある。田中将は改めて勝利の味に魅了された。名球会投手の看板を背負い迎えた今季初マウンド。5回2/3で4奪三振2失点とゲームメイクした。野茂に並ぶ日米通算201勝目。1年前と同じ名古屋での初先発で白星発進し「皆のおかげで勝てた。勝って反省できるのは本当に幸せなことだなと思います」と緊張の糸を解いた。

 打者6人パーフェクトの滑り出し。最速148キロの軌道からカットボール、スプリット、ツーシームを140キロ台で織り交ぜて5回まで無四球1失点。「1軍の公式戦ではなかった」という最遅99キロのスローカーブも初解禁した。

「詰めが甘い」と6回2死から適時二塁打を浴び途中降板したことを悔いたが、阿部監督からは「いい粘りで投げてくれた。上出来」と94球を称賛された。

 登板2日前。兵庫・昆陽里(こやのさと)タイガースで白球を追っていた幼少期を思い返した。当時ニュースで見ていたのは日本人大リーガーのパイオニアである野茂。少年団では投手・坂本勇人、捕手・田中将だったが「僕はずっとピッチャーがやりたかった」。“なりたい自分”に変身できるのは、一人で壁当てをする時間。その時に夢中でマネていたのが野茂の代名詞トルネード投法だった。

 「小さい子が今、大谷翔平のモノマネをするみたいな感じ。(そこから)日本人選手の歴史がつながっていった」。背中を追うように25歳で海を渡った。ヤンキース時代に現地のレストランでばったり遭遇したことも思い出。

「トルネードとフォーク。それが一番(の印象)」。そんなレジェンドに肩を並べた。

 先発6人のうち5人が新戦力という中で唯一、2年連続開幕ローテ入り。春先からチームは「今年のマー君は本当いいよ」という声であふれた。最も変わったのは10年以上前の感覚が蘇りつつある体の動きだ。戻らない球威、キレに悩んでいた近年。「一生懸命腕振っても出ないもんは出んかった」と理想と現実のギャップに苦しんだ。1年かけてフォームを徹底研究したのが25年。3勝4敗に終わったが、年が明けると出したい球速とスピードガンが一致することが増えた。今は球自体に自信があるから制球により意識を向けられる。好循環に入った。

 ルーキーイヤーから約20年、右腕を見てきた旧知のトレーナーは開幕前にこう言った。「打者を差し込むあの下半身のフォームの粘り。(24勝0敗の)13年やそれより前の動きに近い兆しが出てきている」。完全復活まで、あと少し。「投げる試合は全部勝つ」。言葉にも力が戻ってきた。(堀内 啓太)

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