日本サッカー協会は2日、なでしこジャパンのニルス・ニールセン監督が契約満了により退任することを発表した。先月29日の臨時理事会で決議され、後任は未定となっている。

アジア杯で優勝してからまだ12日しか経過しておらず、電撃的な発表となった。

* * * *

 ニールセン監督の退任を受けて、昨年6月のスペイン遠征が1つのターニングポイントだったと感じる。ブラジルに連敗し、スペインにも敗戦。2011年ドイツW杯以来の世界一奪還へ、厳しい現実を突きつけられた中、指揮官はとにかく「よく頑張った」と選手たちを励ました。

 激励することが「否」ではないが、この3試合で共通していたのは、デュエル(1対1)で負けたこと。選手がそれぞれ課題と向き合う中、必要としていたのは課題克服の解決策であり、何より試合に勝つ策だった。佐々木則夫ナショナルチームダイレクター(ND)から「勘違いするな。負けてオッケーなんてない。(強豪国に)勝たなかったら優勝できねえだろ」と厳しく追及された言葉がよほど響いた様子で、帰国後の取材でも、選手たちは佐々木NDの指摘に近い言葉を口にしていた。

 アジア杯の組み合わせが決まった7月下旬、囲み取材でニールセン監督は、選手からデュエルに対する課題が挙がっていることを質問された。返答は「確かに弱さはあるが、チームで問題かというと、そうではないと思っている」だった。さらに、フィジカル差に絡めて似たような質問をぶつけたが、「デュエルは出来るだけ避けて」という言葉が返ってきた。

課題から目を背けているだけなのでは、と違和感を持った。

 佐々木NDは「少しサッカーに対する指導が緩いというか、甘い」と会見で述べた。指揮官の指導力に対する疑問が関係者から徐々に聞こえるようになった。昨年10月の欧州遠征後から、狩野倫久コーチが主導権を持っていた。その時点で指揮官の求心力は薄れていたのかもしれない。

 ニールセン監督は優しい。温厚でユーモアもあり、選手を最大限に尊重する姿勢は魅力だったが、日本サッカー協会は、世界で勝つために決断した。(浅岡 諒祐)

編集部おすすめ