◆国際親善試合 イングランド0―1日本(3月31日=日本時間4月1日、英ウェンブリー・スタジアム)
特別だけど、特別ではない。ウェンブリースタジアムでのイングランド戦は、そんな夜だった。
試合後、ミックスゾーンに現れた鎌田大地の様子は、恐ろしいほどに、普段通りだった。元々、感情の動きが見えにくい選手ではある。ただその言葉には、これまでになかった響きが含まれていた。
「自分たちが理想としていたゲーム展開に持っていくことができた。まだイングランドのレベルとは差は感じますけど、普通に勝てるレベルまで上がってきていると思う。もっと良くできると思うので、出た課題と向き合っていきたい」
淡々と話す鎌田から出た「普通に勝てる」という言葉。22年カタールW杯でドイツ、スペインを破った際に、選手からそんな言葉が出た記憶はない。今や日本代表は、ファーストチームでプラン通りに試合を進めれば、W杯優勝候補に挙げられる世界の強豪と五分に渡り合うチームになったのだ、と実感した。
立ち上がりはハイプレスの狙いがはまらないと判断すると、三笘が「10分、20分は相手の迫力もある。そこをしのごうと試合前から話していた」と言うように、全員が「ここは守備」とはっきり理解してしのいだ。前半23分、一瞬の隙をついて三笘の得点で先制。
ウィングバックで試合終盤にクローザー役を務めた鈴木淳之介や菅原由勢、セットプレーの高さ対策としてのFW小川航基の存在など、守備面では数々の手応えを得た。交代策を生かして、2点目を取る形までは見いだせなかった。しかし強豪相手に守り切った、という自信から得るものは大きい。
森保監督は「凡事徹底、細部にこだわった準備が、今日の結果につながって良かった」と話したが、まさに小さな隙を一つずつ潰していった結果の勝利。今や日本代表は、世界の強豪を相手に、奇跡を待たなくても論理的に勝てるチームになった。試合後、早々に去ったイングランドサポーターがいないウェンブリーで、日本サポーターの声だけが響く光景は痛快だった。しかし選手たちにとっては、ここはもう憧れの場所ではない。この夜に感じた「特別ではない」という違和感こそが、日本サッカーが成熟した何よりの証拠かもしれない。(日本代表担当・金川誉)

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