◆JERAセ・リーグ 広島1―2巨人(8日・マツダスタジアム)

 マツダの魔物を巨人・泉口友汰内野手(26)が一刀両断だ。広島に1点ビハインドで迎えた9回無死二塁、起死回生の逆転2ラン。

昨年から続いていた鬼門での連敗を5で止めた。7回3安打1失点(自責0)とほぼ完璧だった田中将大投手(37)に、土壇場で報いるアーチとなった。また、5日に支配下登録された平山功太内野手(22)が「1番・右翼」で1軍初昇格即スタメン。4の0で2三振も、イキのいいフルスイングで第一歩を踏み出した。

 逆風をものともしなかった。泉口が右翼ポール際に放った大飛球の行方は、三塁側に集ったG党の大歓声が教えてくれた。「切れるかなと思ったんですけど、何とか残ってくれて良かったです」。0―1の9回無死二塁で、決勝の逆転3号2ラン。「マーさんが完璧な投球をしていたので、絶対に負けをつけるわけにはいかない」と守備のミスで献上した1点が重くのしかかる展開を、ひと振りで塗り替えた。

 ドラマの行方は紙一重だった。9回先頭のキャベッジが二塁打で出塁。3番打者はバントの構えを見せた。

タイムがかかり、川相三塁コーチャーの耳打ちを受けて仕切り直した。「僕のサインミスです」とバットを縦に持ち替え、中崎の初球の内角143キロ直球を完璧に捉えた。チームにとって鬼門のマツダも、昨季打率3割3分3厘。試合前に選手サロンに置いてあった、クリーム味のもみじ饅頭(まんじゅう)をつまんでパワーを充電し、劇弾をたたき込んだ。

 11試合目でリーグトップタイの3発。パワーアップの一因となった“秘密特訓”がある。昨オフは岡本と定期的に東京Dへ。投手の球速や変化量を再現する映像付きの打撃マシン「トラジェクトアーク」をスキーンズ(パイレーツ)らメジャーの超一流投手に設定し、160キロ超の直球を打ち込んだ。「いかついボールでした」とメジャー挑戦直前の師匠と競い合うようにフルスイングした。

 そんなストイックな日々を支えるオフがある。開幕前は韓国ドラマ「涙の女王」にどハマリ。ネットフリックスで全16話を一気見し「ひとりで号泣していました」と難病や離婚危機を乗り越える夫婦のラブストーリーに心を打たれた。

「めちゃめちゃ真面目だと思われるんですけど、オンとオフを分けるタイプです」とグラウンドでは喜怒哀楽を封印し、冷静なプレーで内野の要となっている。

 ドラマチックな一撃でチームは鬼門を突破し、貯金1。初回に左前打、6回に中前打で今季2度目の猛打賞と止まらない3番打者は「後ろにボビー(ダルベック)もいますし、僕は次につなぐことだけを意識しています。9回も情けないエラーをしてしまったので、勝ってかぶとの緒を締めたい」。2年ぶりのV奪回の日まで、ポーカーフェースは崩さない。(内田 拓希)

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