因縁のマウンドで声を張り上げた。勝利だけを信じて巨人・田中将大投手(37)が押し込んだ。

7回。味方の適時失策で先制され、なお1死三塁。ここからギアチェンジして坂倉を浅い右飛、モンテロを遊ゴロ。移籍2年目で最長イニングを投げ抜いた。散発3安打1失点で自責0。日米202勝目こそ持ち越しになったが、好投が生きて9回表に打線が逆転した。「本当よかった。最高でした」。チーム全員での勝利を素直に喜んだ。

 昨年8月28日に2回5失点KOされたマツダで、3回まで打者9人パーフェクト。計5三振を奪いながら79球の省エネ投球が光った。剛速球はなくとも「全部よかった」とキレ、コンビネーション、制球力で赤ヘル打線を手玉に取り「最少失点で切り抜けていけたから最後(勝利に)つながった」。

最速146キロで最遅98キロ。阿部監督も「他の投手陣も見習うところがまだまだある。素晴らしい」とチーム最年長の投球術を絶賛した。

 3シーズンぶりに壁も破った。7回を投げ切ったのは楽天時代の23年9月25日・日本ハム戦(エスコン)以来。昨季は10先発で最長6回が2度にとどまり、今季初登板の1日・中日戦(バンテリンD)も5回2/3で降板した。この日はツーシーム、スライダーの精度に加えスプリットも変幻自在。コンビを組んだ岸田は「高さも落とし方も、将大さん自身で操れる」と支配的なピッチングにうなった。

 近年との違いは踏み込みの左脚に表れている。昨季は投球時のフィニッシュで体がグラつくことが多かった。年齢による変化にも適応しながら、今年は正しいバランスで体を連動させるフォームを習得。中日戦後は左太ももの裏に「ハリ」が出た。

それだけ下で踏ん張れている証しで、パワーをロスなく打者方向に出力できている。下半身主導だから無駄な力みも消え、肩肘の負担が減る。キャンプからハイパフォーマンスが続くヒケツだ。

 開幕2連勝は逃したが、ここまで計12回2/3で失点3。「いいバランス。メカニックがよかった」と自己分析した。8回の攻撃で代打を送られ交代。「(まだ)行けましたね」の言葉に頼もしさが詰まっていた。(堀内 啓太)

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