全国の書店員が最も売りたい本に贈る第23回「本屋大賞」の受賞作が9日、都内で発表され、朝井リョウさん(36)の「イン・ザ・メガチャーチ」(日経BP)が大賞に輝いた。

 朝井さんはグレーの髪色に合わせたスタイリッシュなスーツ姿で登壇すると、昨年、「カフネ」で大賞受賞の阿部暁子さんから笑顔で花束を受け取った。

 マイクの前に立つと「小説はいつまでたっても、どんな編集者と組んで書いても、たった1人で書いているものです」と話すと「自分の偏り、自分の極北を書くのが小説ですが、今回、本屋大賞というたくさんの極端、極北が集う場で、そういう本棚の一部になれたらいいのかなと思ってます」と笑顔で宣言。

 「たくさんの書き手の極端、極北が並ぶ書店という場所を守ってくださっている書店員の方々に感謝します」と頭を下げた。

 朝井さんは2009年、早大在学時に映画化もされた「桐島、部活やめるってよ」で、小説すばる新人賞を受賞してデビュー。2013年には「何者」で直木賞を受賞。「世界地図の下書き」で坪田譲治文学賞、「正欲」で柴田練三郎賞など受賞多数。

 昨年9月の発売後、5か月で23万部突破の「イン・ザ・メガチャーチ」は「あるアイドルグループの運営に参画することになった家族と離れて暮らす男性、内向的で繊細な気質ゆえ積み重なる心労を癒やしたい大学生、仲間と楽しく舞台俳優を応援していたが、とある報道で状況が一変する女性の3人を主人公に。ファンダム経済を仕掛ける側、のめり込む側、かつてのめり込んでいた側―世代も立場も異なる3つの視点から、人の心を動かす“物語”の功罪をあぶり出していく意欲作。既に未来屋小説大賞、あの本、読みました?大賞に輝いている。

 また、翻訳小説部門はメリッサ・ダ・コスタさんの「空、はてしない青」(講談社)、発掘部門は原田宗典さんの「旅の短編集 春夏」(角川文庫)が選ばれた。

 本屋大賞は全国の490書店、書店員698人の投票により上位10作品をノミネート。その中から今回、大賞1作品が選ばれた。

 ◆2026年本屋大賞最終結果

 ▽1位 「イン・ザ・メガチャーチ」 朝井リョウ(日経BP)

 ▽2位 「熟柿」 佐藤正午(KADOKAWA)

 ▽3位 「PRIZE―プライズ―」 村山由佳(文藝春秋)

 ▽4位 「エピクロスの処方箋」 夏川草介(水鈴社)

 ▽5位 「暁星」 湊かなえ(双葉社)

 ▽6位 「殺し屋の営業術」 野宮有(講談社)

 ▽7位 「ありか」 瀬尾まいこ(水鈴社)

 ▽8位 「探偵小石は恋しない」 森バジル(小学館)

 ▽9位 「失われた貌」 櫻田智也(新潮社)

 ▽10位「さよならジャバウォック」 伊坂幸太郎(双葉社)

 ◆「本屋大賞」歴代受賞作

 ▽第22回(2025年) 「カフネ」 阿部暁子(講談社)

 ▽第21回(2024年) 「成瀬は天下を取りにいく」 宮島未奈(新潮社)

 ▽第20回(2023年) 「汝、星のごとく」 凪良ゆう(講談社)

 ▽第19回(2022年) 「同志少女よ、敵を撃て」 逢坂冬馬(早川書房)

 ▽第18回(2021年) 「52ヘルツのクジラたち」 町田そのこ(中央公論新社)

 ▽第17回(2020年) 「流浪の月」 凪良ゆう(東京創元社)

 ▽第16回(2019年)「そして、バトンは渡された」 瀬尾まいこ(文藝春秋)

 ▽第15回(2018年) 「かがみの孤城」 辻村深月(ポプラ社)

 ▽第14回(2017年) 「蜜蜂と遠雷」 恩田陸(幻冬舎)

 ▽第13回(2016年)「羊と鋼の森」 宮下奈都(文藝春秋)

 ▽第12回(2015年) 「鹿の王」(上下) 上橋菜穂子(KADOKAWA)

 第11回(2014年) 「村上海賊の娘」(上下) 和田竜(新潮社)

 ▽第10回(2013年)「海賊とよばれた男」(上下) 百田尚樹(講談社)

 第9回(2012年) 「舟を編む」 三浦しをん(光文社)

 第8回(2011年) 「謎解きはディナーのあとで」 東川篤哉(小学館)

 ▽第7回(2010年) 「天地明察」 冲方丁(角川書店)

 ▽第6回(2009年) 「告白」 湊かなえ(双葉社)

 ▽第5回(2008年) 「ゴールデンスランバー」 伊坂幸太郎 (新潮社)

 ▽第4回(2007年) 「一瞬の風になれ」 佐藤多佳子(講談社)

 第3回(2006年) 「東京タワー」 リリー・フランキー(扶桑社)

 ▽第2回(2005年) 「夜のピクニック」 恩田陸(新潮社)

 第1回(2004年) 「博士の愛した数式」 小川洋子(新潮社)

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