歌舞伎俳優・中村鷹之資による欧州公演「女方ができるまで」が9日、フランス・パリの日本文化会館で開幕した。

 パリ、イタリア・ローマ、ドイツ・ケルンの3都市で上演されるもので、鷹之資は海外公演初参加。

通常は公開されない化粧や着付けの過程を舞台上で実演する第1部「女方ができるまで」と、長唄舞踊の名作『藤娘』を披露する第2部で構成される。パリ公演初日の幕が開いて舞台に上村折乃助が登場し、フランス語で挨拶すると、客席からは大きな期待の拍手が沸き起こった。

 観客に向け、折乃助が歌舞伎の解説をはじめると、「待て、待ちやがれえ!」と鷹之資が勢いよく登場。着物姿で舞台中央で見得を決めると、大きな歓声が起きた。その後は、観客に向けた見得や女形の所作のレクチャーへ。観客は事前に配られた手拭いを手に、文を書く仕草、恥ずかしがる仕草など、様々な女形の所作に挑戦。日本文化を実体験して楽しむ様子がみられた。

 舞台上には鏡台や小道具が置かれ、楽屋さながらの光景が。鷹之資は、白粉(おしろい)を塗り重ね、一人の美しい「娘」が創り上げられていく細やかなプロセスを丁寧に披露。かつらを掛け、豪華な振袖を纏う「着付け」までをも舞台上で公開する演出に、場内からは驚きと感銘の溜息が漏れた。男性から優美な「藤娘」へと変貌を遂げた鷹之資が立ち上がると、客席からは驚きの声が上がった。

 続いて鷹之資が装いを新たに『藤娘』を上演。

静まり返った場内に柝(き)の音が響き、満開の藤の花の下、優雅な藤娘・鷹之資が登場。その美しさに観客からは感嘆のため息がもれた。一瞬にして衣裳が変わる「引き抜き」が決まると、万雷の拍手に包まれた。

 続いてパリ公演限定の特別演目として、女形から一転、勇壮な獅子の精へと姿を変えた『石橋』を上演。豪快に長い毛を振る「毛振り」の圧倒的なエネルギーでパリの人々を魅了した。17~18日にローマ、22~23日にケルンで上演する。

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