若手注目の尾上右近(33)と、7代目尾上菊五郎(83)の孫で寺島しのぶ(53)の長男・尾上眞秀(13)による歌舞伎座夜の部「連獅子」。ここに至るまでにドラマがある。

 右近が続けてきた自主公演「研の會」がカギとなっている。19年(第5回)には「弁天娘女男白浪」で演じた弁天小僧を、22年の「團菊祭」で“昇格披露”した。決まった時「自宅ベッドの上で体育座りで泣いた」と喜びを語っていたのが忘れられない。

 そして、音羽屋2人の「連獅子」は24年(第8回)が初タッグ。“聖地”歌舞伎座で演じる役を受け身で待つのではなく「実の親子でない連獅子」を、自らの手でもぎ取った格好だ。

 登場の瞬間から自主公演時とはまた異なる緊迫感が漂う。実の親子だろうがなかろうが、作品の世界に見る者を引き込む力があれば、関係ない。右近は眞秀に対し「言葉のやり取りより、一緒に舞台に立つことこそ、最大のコミュニケーション」と話す。

 そして眞秀。彼を見るたび、17年5月の初お目見えが思い出され、感慨深いものがある。当時4歳。あれから9年がたった今、中学2年で容姿、体形、そして感性も変化し続けている。

舞台に立つだけで見る者を引きつける天性の華やかさがある。「優しいけれど、厳しい人」と右近に食らいつき、“名コンビ”の連獅子を目指してほしい。

 13歳の少年にとって、この1か月間、心身を極限まで追い込むのはハードに違いない。しかし千秋楽を終えた時、歌舞伎役者を志す気持ちが、一層揺るぎない、強固なものになっていれば、それが一番の成長の証しとなる。(内野 小百美)

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