◆JERAセ・リーグ 巨人2―3ヤクルト(11日・東京ドーム)

 巨人の坂本勇人内野手(37)が節目の300号本塁打に王手をかけた。2点を追う7回2死、ヤクルト・山野から中越えに豪快な今季1号ソロ。

不振に苦しんでいたが、21打席ぶりの安打が通算299号となった。19年連続アーチは球団2位タイ。新外国人ブライアン・マタ投手(26)は来日初登板初先発で、5回2失点の粘投も初黒星。1点及ばず今季初の3連勝はならなかったが、平山にプロ初安打、7年目の山瀬にプロ1号も飛び出し、明るい兆しの多い敗戦だった。

 間違いなく、今年一番の大歓声だった。長い滞空時間を経た坂本の打球が、バックスクリーン左で弾んだ。21打席ぶりのヒットが今季1号。通算300号に王手をかける一発を描いた。「1本出たのは本当に良かったですけど、まだどうなるか分からないんで。そこはいろいろ、練習からやっていきます」。19年連続本塁打は王貞治(22年)に次いで、柴田勲と阿部慎之助に並んで球団2位タイとなった。

 千両役者の仕事だった。

2点を追う7回2死。完投ペースだったヤクルト・山野の内角146キロのワンシームを、のけぞるような豪快なフォロースルーで完璧に捉えた。6試合ぶりのスタメン出場で、それまで2打席連続三振。追い込まれた状況に見えても、ひと振りで最高の結果を導き出した。

 プロ20年目を迎える前に、盟友と交わした“約束”がある。昨年10月1日の中日戦(東京D)後だった。本拠地最終戦セレモニー前、長野久義氏(41)に呼び止められた。2人だけの空間で伝えられたのは現役引退の決断。そして「勇人は3000本打つまで辞めちゃダメだよ」―。

 長年、ともに巨人を背負い「勝手にライバルだと思っていた」というかけがえのない存在から受け取った最後のエール。引退報告の場であっても、チョーさんらしく明るく背中を押してくれたことがうれしかった。今年のキャンプ前にも食事をともにし、立場は変わっても2人の絆は不変だ。

 チームの今季初3連勝はならなかったが、阿部監督は飛距離124メートルの豪快弾に「久しぶりにあんな生きた打球見たので。まだまだ、あそこにも入るのでね。まあ大丈夫でしょう」。これからも巨人の中心であり続ける。それを裏付ける坂本の一発だった。(内田 拓希)

記録メモ 坂本(巨)が今季1号を放ち、デビュー2年目の08年から19年連続本塁打。本塁打の連続年数の最長は、89~15年に27年連続の谷繁元信(横浜・中)だが、巨人では22年連続の王貞治(59~80年)に次いで、19年連続の柴田勲(63~81年)、阿部慎之助(01~19年)に並び2番目になった。

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