WBC世界バンタム級挑戦者決定戦で、同級2位の那須川天心(27)=帝拳=が元世界2階級制覇王者で同級1位のフアンフランシスコ・エストラダ(35)=メキシコ=を9回終了TKOで破り、WBC王者への挑戦権を獲得した。昨年11月24日にWBC同級王座決定戦で井上拓真(30)=大橋=に、初黒星の判定負けを喫して以来5か月ぶりの再起戦を、5試合ぶりのKO勝利で飾った。

元WBC世界バンタム級王者の山中慎介氏が試合を評論した。

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 天心は井上拓真(大橋)戦の敗戦から5か月間で、よくここまで変わったと思う。エストラダは全盛期の怖さは無かったとはいえ、試合はほぼ天心が支配していた。右のジャブ、そして絶妙な角度から打ち込むボディーブローが効果的だった。拓真戦は下がって後手、後手に回ることが目に付いたが、その反省をいかして、下がらないことを意識して前に、前に出て、先に手を出しエストラダを下がらせる理想的な展開に持ち込んだ。

 この試合は相手に接近された時にどう対処するかも大きなテーマだったが、ジャブを突き刺し、エストラダが中に入ってこれない状況を作っていた。セコンドから「中に入っても怖くないから前で(パンチを)外して行け」という指示が出ていた。それだけスピード、体のパワーに差があったということだ。そして自分から仕掛けるという意識も前面に表れていた。試合前にも言ったが、自分から仕掛けるというのは、自信がなければ出来ないことだ。天心が「どんな局面になっても対応できるように練習を積んだ」と口にしていたが、そのハードワークで流した汗が自信になったのだろう。正直、予想以上の結果を出した思う。

 この勝利で5月2日(東京ドーム)に行われるWBC世界バンタム級タイトル戦の勝者への挑戦切符を手にした。チャンピオンの井上拓へのリベンジを希望しているが、仮に井岡一翔(志成)が勝ち、日本人初の5階級制覇王者への挑戦というケースも大きな話題になる。(元WBC世界バンタム級王者)

【バンタム級戦線】 

 WBC王者・井上拓真は、5月2日に東京ドームで井岡一翔との初防衛戦に臨む。天心は、次戦でこの勝者に挑戦する可能性が濃厚だ。さらには、2月に英国で行われたWBC挑戦者決定戦に勝利した同級3位アンドリュー・ケイン(英国)も挑戦者として控えている。

 WBA正規王者・堤聖也は、昨年12月のノニト・ドネア戦で鼻骨を骨折した影響で、WBAから義務づけられていた休養王者アントニオ・バルガスとの対戦が見送りとなった。堤は復帰戦を「9月ぐらいに」と話している。WBA1位には、増田陸がランクされている。3月のWBA挑戦者決定戦でドネアに8回TKO勝ちし、挑戦権を得た。7月か9月に予定される次戦で、王座挑戦が実現する可能性もある。

 昨年9月に武居由樹(29)=大橋=から王座を奪取したWBO王者クリスチャン・メディナは、2月に初防衛に成功した。天心のスパーリングパートナーも務めるなど、日本にもおなじみの選手だ。

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