馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はデンコウアンジュが勝った2019年の福島牝馬Sを取り上げる。

2歳時以来、牝馬では異例の3年半ぶりのタイトルだった。

 

 とても6歳牝馬とは思えない。デンコウアンジュは大外から荒々しく突き抜けた。道中は後方3番手を追走。前半1000メートルが62秒2の超スローペースでも、デビュー35年目の柴田善は焦らなかった。「しまいにいい脚を使うと思っていた。今日は予想以上にキレましたね。すごかった」。直線では内の馬群を一気に飲み込んでからも、加速が全く止まらない。2着に2馬身半差。完勝だった。

 人馬ともに忘れかけていた感覚を取り戻した。

デンコウアンジュにとっては2歳時のアルテミス以来、実に3年半ぶりの重賞タイトル。そもそも、勝つこと自体がその時以来だった。「責任を感じながら乗っていました。今日は本当に馬がよく頑張ってくれた」。そう振り返る柴田善にとっても2016年の東京スポーツ杯2歳S(ブレスジャーニー)以来、2年半ぶりの重賞タイトルだった。

 「今日くらい落ち着いて、折り合いがつけば、東京でも32秒台の脚を使える馬。ひょっとするかも」と52歳のベテランが期待したヴィクトリアマイルは12着に敗れたが、翌2020年には7歳で愛知杯を制覇した。

 2021年に現役を引退したが、牝馬にしては6年にもわたる競走生活は極めて異例。地道に歩んできた道のりは多くのファンに愛されてきた。

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