プロボクシングWBC世界バンタム級2位の那須川天心(27)=帝拳=が、WBC同級挑戦者決定戦での9回終了TKO勝ちから一夜明けた12日、東京・新宿区の帝拳ジムで会見した。9月に予定される次戦で、5月2日に東京ドームで対戦するWBC同級王者・井上拓真(30)=大橋=と元世界4階級制覇王者の同級4位・井岡一翔(37)=志成=の勝者へ挑戦することが濃厚だ。

昨年11月のWBC同級王座決定戦で拓真に敗れている天心は「拓真選手に勝ってほしい」と再戦を切望した。

 崖っぷちからはい上がった天心は、晴れやかな表情で語った。「選手としても一人の男としても成長できた一日だった。ここで勝てて生き残れたのはデカい。もう負けるところは一生見られないと思う」。覚醒した神童は、再び常勝街道を突き進むことを宣言した。

 キック時代を含め、キャリア55戦目で初めて敗北した拓真戦から5か月。元世界2階級制覇王者フアンフランシスコ・エストラダ(35)=メキシコ=に対し、課題としていた接近戦でも圧倒。ボディーへの強打で棄権に追い込んだ。エストラダは左肋骨(ろっこつ)2か所を骨折していたことが判明。「ボディーは狙っていた。自分のパンチが効くと分かった。

遠い距離でも近い距離でもいけると、迷いがなくなったことが一番の自信になった」と手応えを語った。

 所属ジムの本田明彦会長(78)は、注目の次戦が「9月になる」と明言。拓真―井岡戦の勝者への挑戦が既定路線だが「(試合間隔などが)合わなければ他の選手とやる」と、他団体王者への挑戦やノンタイトル戦も選択肢となるという。

 天心は、拓真へのリベンジに燃えている。「拓真選手に(井岡に)勝ってほしいですね」と率直な思いを打ち明け、「(KO勝利は)もちろん。預けたものが大きいので、変な決着では終われない」とKOで借りを返すことを宣言。11日の試合後には「てるてる坊主を作って(拓真勝利を)祈りたい」と話していたが、この日は「てるてる坊主では晴れるだけなんで意味がない。わら人形にしておきます」と冗談にも再戦への執念を込めた。

 日本人選手がしのぎを削るバンタム級。「自分が面白くしているし、一番強いという自負がある。もっとこの階級を盛り上げたい。まだまだここから。

なめんじゃねぇぞ、という気持ちはある」。群雄割拠のリングで主役の座を奪い取る。(勝田 成紀)

 ◆天心に聞く

 ―自身の進化した部分。

 「集中の仕方が分かった。今までお客さんのために、とか考えたりしていた。今回は自分のためだけに戦ったのが大きなポイント」

 ―4回終了時の公開採点で2者がドローだった。

 「『あれ、ここ日本だよな』とちょっと思ったが、そこで焦らなかったことが自分の中での勝因」

 ―試合前には「怖さもある」と話していた。

 「負けて逃げたくなる気持ちもあるが、全てさらけ出していく。最終的にはフル〇ンになれる。ありのままの姿でいける覚悟」

 ―成長を感じた。

 「でも、まだまだ。勝って兜(かぶと)の緒を締めよ、じゃないが、きつすぎず、緩すぎず、締めていく」

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