今年1月に競馬記者になり、函館競馬の開幕から先週まで3週間滞在した三戸達也記者が、洋芝とは何かを探ってきた。

 「洋芝」と聞いて思い浮かべるのは「函館、札幌の2場の馬場」と「時計がかかる」というイメージ。

しかし、野芝との具体的な違いや、なぜ馬場が重いと言われるのか、その理由までは深く考えたことがなかった。今後の馬券予想につながるヒントも隠されているのではと思い、JRAの函館競馬場・馬場担当課の安藤恒平課長に話を聞いた。

 まず「洋芝=北海道」という認識は違っていた。新潟を除く本州の7つの競馬場にも洋芝は含まれている。大まかに言えば洋芝は暑さに弱いが寒さに強く、野芝は暑さに強いが寒い時期に生育しないという特徴がある。つまり寒い冬を乗り越えるには野芝だけでは十分ではないため、寒さに耐性のある洋芝を野芝にブレンドするというイメージだ。

 安藤課長は中山競馬場を例に説明する。「9月の開催が終わった後に洋芝の種をまいて育てます。12月、1月の開催からは混ざった状態で、2月に再び種をまいて皐月賞まで開催します。皐月賞までの時期が最も洋芝の割合が多いですね。その後は5月に野芝の種をまいて、9月の開催を迎えます。9月は野芝100%の状態になるので、時計は速くなる傾向です」。

芝をよく見れば季節によって色味も異なるという。そのような観点からレースを見ても面白いかもしれない。

 続いて洋芝はなぜ時計がかかるのか。それは野芝との根付き方の違いが大きいそうだ。野芝の根付きはほふく茎といって横に広がって絡み合っていくのに対し、洋芝は縦に深く無数に伸びていくという。その違いがクッション性にもつながる。JRAは毎週末馬場のクッション値を公表しているが、本場が8~10前後に対して、函館は6・5前後で推移している。数値が低いほど反発が低い。実際に開幕直前の函館の馬場を歩いたが、想像以上の深さで足を取られるという表現がぴったりだった。力を要するという意味がよく分かった。

 そんな函館でジョッキー、陣営から度々馬場の高速化が話題に出る。実際に25年は函館記念でサッカーボーイの記録が37年ぶりに塗り替えられるなど、芝のレースで8回レコードが更新された。

今年は3週終了時点で芝のレコードは出ていない(ダートは1000メートルで更新)が、28日の函館記念はレコードに0秒1差の1分57秒7をマークした。安藤氏はこれについて自然現象によるものが大きいと話す。

 「昨年は平年より気温が3、4度高かったことが要因です。日照もあって含水率が下がると、馬場が乾くので高速化につながります。今年は3月から5月の平均気温が昨年以上に高くコンディションは良いですが、開催当日に3週連続で雨が降りましたし、27日は開催直前に43・5ミリの雨がありました。自然が相手なので、開催日は乾くのを観察する以外はないです。気温が上がって風も強く乾きが進んだので、今年の函館記念も時計が速くなりました」

 馬場を管理する側がレコードを出すために何かすることは当然なく、気候によって大きく左右されるのだ。昨年は晴れ間が続き、開催日の雨がほぼなかったことがレコード連発につながった。

 様々な疑問が解消され、馬場について考えるきっかけにもなった。先日の宝塚記念ではレース直前に良から重に変更になるなど、珍しい事象も起こった。函館も逃げ、先行が大半だった前2週から3週目は外差しも台頭。3、4角の傷みは出ていると安藤課長が言うように、Aコース最終週の4週目はまた傾向が変わりそうだ。

日々の天気、気温を見ながら馬場傾向を考慮するのも、馬券予想の面白さのひとつと言える。今後はより馬場読みを予想のファクターに加えようと実感した取材だった。

(三戸 達也)

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