◆サッカー北中米W杯▽決勝 スペイン1―0アルゼンチン(19日、ニューヨーク・ニュージャージー競技場)

北中米W杯(米国、カナダ、メキシコ共催)は19日、決勝でスペイン(FIFA2位)が、アルゼンチン(同1位)を1―0で下し、2010年以来、16年ぶり2度目の世界王者となり幕を閉じた。初の3か国開催に48チームが参加し、計39日間に渡って104試合が繰り広げられた。

現地で、その歴史的瞬間を取材した金川誉記者が、日本代表が目指す優勝への険しさと、今後の進むべき道を「見た」。

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スペインの完勝は、ひとつの時代の転換点を見せつけられるようだった。現代サッカーにおける史上最高の選手・メッシを擁するアルゼンチンを破り、頂点に立った。得点王のFWエムバペを擁するフランスを破った準決勝を含め、突出したエースを擁したチームを次々と退けたスペイン。個と組織が高い次元で融合したその戦いぶりは、すでにクラブレベルでは進められているように、今後のW杯でもスタンダードとなるはずだ。

決勝のピッチでスペインはボール保持率60%(アルゼンチン30%)、パス数878本(同476本)と圧倒し、主導権を握り続けた。即時奪回を繰り返し、相手を敵陣に釘付けにする。今大会はチーム数増加に伴い決勝まで8試合を戦う過酷なスケジュールとなり、疲労の色が濃くなる終盤こそ、試合をコントロールし続けるスペインの優位性が際立った。決勝を観戦した日本代表の森保一監督が「最終的にはスペインのようにボールを握りながら、局面でも勝っていくチームを目指していくべきかと思います」と語ったように、日本もボール保持力のさらなる向上から逃げることはできないだろう。延長戦で大会MVPのMFロドリ(マンチェスターC)に代え、プレミアリーグ屈指の実力を持つスビメンディ(アーセナル)をピッチへ送り出せるほどの選手層の厚さも、世界最高峰の証明だった。

また、決勝の舞台に立った2人の指揮官のキャリアも、今後の大きなトレンドを示している。スペインのデラフエンテ監督、アルゼンチンのスカロニ監督はともに、クラブよりも年代別代表の指導経験が長い。

準備期間が限られる代表チームにおいて、育成年代から選手を熟知し、一貫した哲学を植え付けることの強みが結果として結実した。日本サッカー協会宮本恒靖会長が「下の世代から見ている監督は、継承という意味で大事なのかなとは感じた」と指摘した通り、日本も次期体制に向け大きな示唆を得ている。森保監督の続投期間の先にある、U―23日本代表の大岩剛監督への継承という青写真は、この潮流とも合致する。

ただ、スペインを表面的な形でまねたところで、同じ高みに行けるわけではない。彼らの圧倒的なパスワークは、長年の育成から丹念に築き上げてきた文化の産物だからだ。

では、日本が世界と渡り合うための武器は何か。今大会の森保ジャパンが見せた「献身性」や「粘り強さ」といった日本人の魂は、決して手放してはならない不変のベースだ。その組織の規律と泥臭さを土台に据えながら、スペインのようなパスワークや、アルゼンチンのような勝負強さをいかに血肉にしていくか。世界王者との間に横たわる本質的な差から目を背けず、日本独自のアイデンティティと世界基準の個のクオリティをどう融合させるか。4年後の頂点へ向けた戦いは、もう始まっている。(金川 誉)

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