新日本プロレスは4日、東京・六本木のテレビ朝日で記者会見し来年1・4東京ドームで開催する「闘魂55年 WRESTLE KINGDOM 21 in 東京ドーム」の第一弾カードを発表した。

 棚橋弘至社長が第一弾の全7試合を発表したが、注目は「新日本プロレス vs AEW」5対5シングルマッチだ。

 メインカードとなるIWGPヘビー級選手権で王者・辻陽太はケニー・オメガと3度目の防衛戦に挑む。

 ケニーは2016年に外国人選手として初の「G1クライマックス」で優勝。さらに18年6月にオカダ・カズチカを破りIWGP王座を奪取するなど名実ともに新日本プロレスの歴史の中で最高峰を極めた外国人レスラーになる。

 19年に旗揚げ前のAEWと契約し副社長に就任。AEW世界王座を戴冠するなど43歳の今も世界トップの実力と人気を誇る。

 そのケニーがIWGP奪還へ動いた。10・12両国国技館で大岩陵平を破った辻を襲撃し挑戦を要求。自らが挑戦権をかけ提案した11・3広島サンプラザで辻、ボルチン・オレッグとの3WAY戦で2人を片翼の天使でKOし実力で挑戦を認めさせた。

 会見でケニーは、IWGP奪還を決断した思いを日本語で熱く打ち明けた。

 「チャンピオンになって、世界のファンの皆さんのケニー・オメガのスタイルを見せたいですね。で、それでまた改めて新日本だけじゃなくてプロレスの代表になりたいです。だから、もちろんそのベルトの重さは、たぶんすぐ感じますけど、フルスケジュールをやるのが辛いと思いますけど、なんだか私がそのベルトを持つ時に、相応しいって感じますよね。

だから、モチベーションになって、もう一回そのベルトを取りたい気持ちになってます」

 そして辻へ通告した。

 「日本国内はまだしも、お前は残念ながら世界のレベルの選手ではない。ここで一つハッキリしておきたいのは、俺はAEWから来た悪者ではない。これは昨日の試合後の広島のファンの反応を見ても明らかだと思うが、俺はいまでも新日本ファンに受け入れられているし、俺のおかげで広島の試合もソールドアウトになったな。東京ドームでも新日本のファンが俺を拍手で受け入れる姿が目に浮かぶし、俺はAEWの創始者として、いままでいろいろなことを成し遂げてきたが、ツジ、お前にそんな力があるのか。残念ながら、お前には俺ほどの力はないし、俺に叶うことはできないだろう。それはなぜか。一番最初に言った通り、圧倒的な経験の差があるからだ」

 揺るぎない実績と幾多の修羅場をくぐり抜けたキャリアを誇った。

 ケニーの言葉に辻は真っ向から受けて立った。

 「今年の1・4で棚橋弘至が引退して最初の東京ドーム。本来であれば、俺はこのベルトを賭けて新日本の生え抜き同士で闘うべきだと思ってました。ただ、昨日の広島の結果を受けて、チャンピオンとしてこのまま黙っているわけにはいかない。

正直言って、昨日のケニー・オメガは完璧だった。俺が簡単にこのIWGP挑戦をさせないことを知っておいて、そして挑戦者に一番近いボルチン・オレッグを混ぜて、3WAYでの試合を提案し、俺とボルチン、2人とも倒して、もうぐうの音も出ないぐらい完璧な俺たちの負けだったと認めます。だからこそ、俺は東京ドームであんたにリベンジするよ。実際のところ、東京ドームのメインイベントでケニー・オメガと闘うということは、俺がいままで言ってきたことへの特大のブーメランになる。それとともに、いままで言ってきたことのAEWとの関係性について見直していくチャンスになると思っている。俺だけじゃない、新日本プロレスの他の選手たちもどうやらAEWと試合が組まれてるようだ。他の人たちがどう思っているかわからないが、俺にとっちゃこれはAEWと新日本の全面対決。そして、俺は新日本プロレスの大将だ」

 1・4東京ドームはAEWとの「全面対決」がメインテーマであり「大将」として新日本プロレスの看板を守る決意を激白した。

 来年、旗揚げ55年を迎える新日本プロレス。その歴史は、他団体との全面対抗戦、あるいは外敵と呼ぶ大物レスラーとの闘いの連続でもあった。

 旗揚げ3年目の1974年3月19日、蔵前国技館でアントニオ猪木は、国際プロレスを離脱したストロング小林と対戦した。日本人同士の大物対決がほとんどなかった当時。

小林は団体を退団していたが「新日本プロレス vs 国際プロレス」の構図をファンは描き、猪木は小林を撃破し新日本プロレスの看板を守り、この一戦をきっかけにそれまで経営的に苦境だった団体は浮上していく。

 

 時を経た1995年10・9。東京ドームでUWFインターナショナルとの全面対抗戦を敢行。メインイベントで武藤敬司が髙田延彦を足4の字固めで破り、「U」を葬った。

 さらに天龍源一郎の「WAR」、「大日本プロレス」などとの対抗戦も制した。他団体、あるいは外敵を突破し最強の看板を守った激闘の連続が55年という伝統を歴史を築いた。

 一方で2001年に藤田和之、03年に高山善廣、08年に全日本プロレスの武藤敬司ら外敵にIWGPを奪われた現実もあった。外敵に最高峰を奪われると団体の屋台骨が揺らいだことも事実だった。

 55年の歴史を背負った2027年1・4東京ドーム。AEWとの「全面対決」を掲げた「大将」辻は、会見で真意を激白した。

 「俺はチャンピオンとして、この試合に勝たなければいけない。たとえ他の選手たちがAEWに全勝したとして、俺1人が負けたとしたら、それって新日本が負けたっていう風に見られると思ってます。

でも、俺1人が勝って新日本があと全員負けた、そんな状況も俺は望んではいない。つまり俺がここでやりたいのは、新日本プロレスの完勝です」

 さらに豊富な資金力を持つAEWとの力関係の逆転にも言及した。

 「AEWの人たちからしたら、ちょっと僕の感覚はわからないっていう人もいるのかもしれないですけれども、それでもこれはあくまで僕自身の感覚ですけれども、今までAEWと新日本のいわゆる格差みたいなものをずっと感じていました。今までの交流の中で、『Forbidden Door』が始まったり、その辺から。そんな格差の問題を結果で覆すことができる。これは今までのAEWと新日本の歴史の中で最高のチャンスだと思ってます。

過去に言ったことあるんですよ。このような状態が続くようであれば、俺はAEWとの関係を切った方がいいと思うと。ただ、それはこのような状況が続くようであればという話ですよね。ここで新日本がしっかり結果を残して、『新日本プロレスここにあり』というのをAEWに見せつけて、お互いにもっともっといい関係を築けていけたらいいなと、そういう風に思ってます」

 団体の浮沈をかけた大勝負。辻の言葉は新日本プロレスを守る不退転の覚悟だった。

 ケニーはIWGP王者の「全面対決」に反応した。

 「それではないですね。もちろん、今まではAEWは優先してたんだけど、もちろん今は新日本と協力してるんですよね。関係があります。だから、今すごく強いチャンピオンがいる、ウィル・オスプレイ。で、新日本でもすごく強いチャンピオンもいるし、それはヨウタ・ツジさん。なんだけど、一番強いかどうかわからないんですね。だから、それはAEWの代表としてはいない、自分が知りたい。勝つかどうか、それは一番知りたいことですね。『その身体で、そのプロレスの経験で勝てるんだろう、どうかな?』それは自分の中でいつもちょっと考えてる。だから、今は、もしかしたら“now or never”かもしれないですね。だから、“now”にします」

 ケニーが明かした「now or never」は「今やらなければ二度とない」を意味する。これをケニーは「now」に絞った。

「闘魂55年」を掲げた1・4東京ドーム。世界最高峰を極める「今」のプロレスを描くリングになる。

 (敬称略・福留 崇広)

 ◆1・4東京ドーム第一弾カード

 ▼IWGPヘビー級選手権

王者・辻陽太 vs 挑戦者・ケニー・オメガ

 ▼IWGP GLOBAL選手権

王者・ゲイブ・キッド vs 挑戦者・上村優也

 ▼スペシャルシングルマッチ

大岩陵平 vs MJF

 ▼スペシャルシングルマッチ

カラム・ニューマン vs ウィル・オスプレイ

 ▼スペシャルアンバウンドデスマッチ

鷹木信悟 vs ジョン・モクスリー

 ▼IWGPジュニアヘビー級選手権

王者・YOH vs 挑戦者・SHO

 ▼IWGPジュニアタッグ王座決定3WAYマッチ

ロビー・イーグルス&藤田晃生 vs ミスティコ&X vs 石森太二&ロビー・エックス

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