三菱食品が展開する、美味しさや簡便性などを主軸に考えたプライベートブランド「からだシフト」。着実に認知を広げており、冷凍食品も売場での導入を広げつつあるという。
商品統括商品開発本部商品企画第一グループマネージャーの伊藤善之氏と、商品開発本部商品企画第一グループAユニットのリーダーである末永光史氏に聞いた。
――冷凍食品市場についてどう感じるか。
伊藤:コロナ禍に外出が制限されてから、冷凍食品の価値である簡便性や味の良さは認知を広げたと思います。日常的にも使われるようになった。2023年は、伸びていた2022年の裏年ということもあり、数量は伸びきらないものの、業務用市場の回復でおおむね順調でした。冷食自体は今後も伸びると感じています。
冷凍食品は我々としても開発を強化していく温度帯です。健康という軸はスーパーやコンビニでもラインアップが広がっており、冷凍食品でも健康を意識した商品を投入するなど、大手メーカーでも挑戦が広がりつつあります。ただ、まだ競争が激しくなる段階ではないと思っていて、他のメーカーと共により認知が高まるよう市場を盛り上げていければと思います。
――「からだシフト」はどのようなブランドか。
伊藤:このブランドは健康に特化しており、冷凍は2019年から販売を始めました。
――反対に、これは上手くいかなかったという商品は。
末永:チキンクリームコロッケは発売してすぐに終売になってしまいました。一見よさそうでしたが、この商品は油で調理する必要があり、スーパーで売られている簡便調理とは相反しており、導入店がそこまで広がりませんでした。ただ、間口が狭い商品でも、キンパ(韓国風海苔巻き)は、市場に先駆けて提案したところヒットし、販売を広げられました。
――開発で苦労した点は。
伊藤:そもそも、糖質オフ商品の開発は簡単ではなかったです。糖質を減らすと味や食感に物足りなさを感じるため、元の原料を調整し別の原料に置き換えるなど、様々な工夫を行っています。
末永:糖質を減らすと旨味などがどうしても減ってしまうものの、当時はそこを補う知見が確立されていませんでした。一口サイズのプチケーキを発売したのですが、求められていたケーキそのものの甘さや食べ応えに応えきれなかった。そのため、いろんなご意見を頂きました。味の担保をするのに苦労をしました。また糖質を抜くと、商品の形が崩れやすくなってしまう事もあります。糖に含まれるでんぷんが物性を保つ役割を担っているからです。美味しさだけでなく、成形の面でも苦労しました。
伊藤:ただ、発売から5年の間に知見を重ね、味のクオリティは大幅に向上しています。定番品の味や食感を大きく向上させ、2023年8月に投入しました。例えば冷凍うどんは、よりのどごしを感じられる食感に変えています。冷凍食品の売場はにぎやかなので、ブランドの認知度を高めなければ埋もれてしまいます。
末永:冷凍食品は平台中心の売場からリーチイン主体に変わっています。これまでは、糖質をどれだけカットしているかをパッケージの下に記載していたが、今回のリニューアルで、糖質量とオフ率をリーチインでも見やすいようパッケージの上の方に配置しました。
〈ECでの展開も検討アイテム拡大も視野〉
――販売施策で注力していることは。
伊藤:普段の生活の中で、健康にアプローチした商品はまだまだ少ない。より売場でもアピールできるように取り組みを進めていきます。
また、元々は面展開を推進してきましたが、売れ筋商品については単品訴求での展開も強化しています。売場には限りがあるので、こうした展開も強化しています。糖質オフのコーナー以外においても美味しく食べられる商品だということを知って欲しいという考えもあり、こうした展開も進めています。
機能性の認知度はまだまだ低いと思っていて、どのような機能があるかを伝えていきたいと思っています。例えば、店頭サイネージで「イチオシTV」というインフォマーシャルを放映しており、そこで「からだシフト」の機能性などを訴求すると売上は伸長しました。認知度はまだまだ低いので、こうした取り組みで売上を伸ばせればと思います。
また、試食販売も今期は強めており、糖質をカットしていない商品と比べても味は劣らないということを知って欲しいです。
末永:実際に首都圏のGMSの店舗で試食販売を実施したところ、在庫していた商品がすべて売れるぐらいの動きでした。糖質オフは美味しくないと思われている方がまだ多いのですが、試食などを通じて糖質オフでも美味しさを実感してもらえると販売にもしっかりと繋がります。
伊藤:あとはSNSでの提案も増やしたいです。どのような投稿が効果的かを分析し、色々検討していきます。
末永:2022年の末には加工食品の福袋企画をやらせてもらい、値ごろ感のあるトライアル企画としても支持されました
――今後については。
伊藤:今後はECでの展開も検討しています。機能性やコンセプトなど、売場では説明しきれない商品の価値を伝えられ、欲しいと思っている方に商品を届けやすいこともメリットです。
末永:ECを展開している企業がようやく本腰を入れ始めたと思っています。冷凍食品市場に参入する企業が増え、その多くはECを主戦場にしています。大手メーカーでもニーズが絞られる商品はEC限定で展開しており、こうした展開は今後も増えるのではないでしょうか。
伊藤:アイテムは15品ほどまで拡大できればと思います。
味についても、確かにかなり良くなりましたが、まだ理想には遠いと思っています。食感や旨味をより引き出せるようにし、より商品力を引き上げるべく、改良は行っていきます。
健康を軸にした商品は一般的な素材や製法では作れないこともあり、NB(ナショナルブランド)品よりもどうしても価格は割高になってしまいます。それでも、健康意識の高まりは追い風で、主力ブランドの一つとしてニーズを確かめながら様々な商品を提案できればと思います。
末永:ビールでも糖質オフの商品が多く出ていますが、昔は美味しくないという声がありました。しかし、最近では味が本当に良くなっていて売り上げも伸びています。食品ももっと美味しくできればと思います。
〈冷食日報2023年12月20日付〉









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