日本マーガリン工業会の食用加工油脂生産量によると、2023年(1~12月)の家庭用の生産量は22年比2.4%減、業務用は同4.6%減だった。総生産量は56万8,809tで、同4.5%減となっている。


23年度家庭用マーガリン市場は、インテージSRI+によると、金額ベースで前年並みで着地した。バターが値上げされたことでマーガリンとの価格差が広がり、一定数の流入があったことが推測される。バターの値上げは、昨年4月と12月に実施された乳価の引き上げによるもの。

カテゴリ別では、プレーンタイプは前年比3%減、ヘルシータイプは3%減、グルメタイプ(バター風味・バター入り)は5%増、ケーキ用は前年並みだった。

プレーンタイプとグルメタイプについては、大手流通PBが昨年、プレーンタイプからグルメタイプにリニューアルしたことが影響している。グルメタイプの23年度は、一部商品の価格改定を受け購入数量が減少していた22年度の裏年にあたることも要因の一つに考えられる。

ヘルシータイプについては、一部商品の価格改定により荷動きが鈍化し苦戦した。とはいえ、「固定ユーザーが多いカテゴリで、需要の変動は少ないと思われる」(メーカー)という。

ケーキ用については、12月~3月頃までの需要期で、売上を大きく伸ばした。

物価全般の値上げを背景とする節約志向の高まりや、コロナ禍が明けたことで、手作りのチョコレート需要が回復してきたことが要因だと指摘されている。

また、「ラーマ」を発売していたJ-オイルミルズが家庭用マーガリン類事業を3月末に終了した。同社の市場規模は他メーカーによると約10%と推測されている。
各社、「ラーマ」ユーザーを受け止めるべく販促を強化していく。

〈業務用加工油脂市場、業務用国産バターが不足しコンパウンドの引き合い強く〉


業務用加工油脂の23年度は、インバウンドが回復傾向にあり、土産菓子や外食の需要が増加した。国内の人流の動きも戻りつつあるもようだ。

また、業務用国産バターが不足したことで、コンパウンドマーガリンの引き合いが強かった。

国産バターが不足している背景には、酪農家の減少や、昨年の猛暑に伴う生乳生産量の減少、脱脂粉乳の在庫の関係でバターの生産が制限されていることなどが挙げられる。このような状況を受け、コンパウンドマーガリンだけでなく、バター風味の添加剤を上市しているメーカーもある。

また、製菓や製パンでよく使用されるカカオやコーヒー豆が高騰している。この課題に対し、あるメーカーでは焙煎風味のマーガリンを提案し、ココアやコーヒーの量を減らしても満足感を維持できると訴求している。

各社、力を入れているプラントベースフード(PBF)では、食物アレルギー特定原材料8品目不使用に対応したことで、アレルギー面に配慮したメーカーもある。また、PBFの分野だけでなく、例えば最終製品にコクや香りを付けられる製品として引き合いがあるケースも見られる。

〈大豆油糧日報2024年6月19日付〉
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