井村屋は3月21日、三重県津市の本社工場内に「アップサイクルセンター」を竣工した。同センターでは、商品の製造工程で発生する食品ロスを原料化し、既存商品や新規商品などに活用するほか、業務用素材として展開する。
同センターは旧冷凍和菓子工場を改装して設置した。延床面積は748平方メートル(1・2階各370平方メートル)、従業員は5人となる。1階に乾燥機や気流粉砕装置を導入して食品ロスの乾燥・粉砕を行い、2階で菓子を中心とした商品の製造・包装を行う。まずは、おから、あずき副産物、カステラ切れ端の活用から始める。
井村屋グループの大西安樹社長は、「当社はバイオマスボイラーやコージェネレーション、太陽光発電の導入を通じて環境配慮型経営を推進してきた。アップサイクル事業はその一環」と話した。
井村屋(事業会社)の岩本康社長は、「アップサイクル拠点として稼働する。多様な商品を製造する本社工場の中央に位置する。この工場の特性を生かして商品に新しい価値を付加していく」と強調した。
同社の食品ロスは年間約3,600t(2023年度)。

試作品として、おからクッキー、あずきクッキー、カステラを使ったラムボールが試食提供された。保水性に優れるおからパウダーについては、中華まん生地に応用し、2026年秋冬商品での採用を計画している。さらに、既に業務用で一部販売している冷凍おからについては、豆腐などを製造する「あのつFACTORY」(三重県津市)からセンターへ移管する予定だ。
なお、センターは、バイオマスボイラー、太陽光発電、コージェネレーションといった環境に配慮したエネルギーを併用して稼働している。
〈大豆油糧日報 4月2日付〉