味の素AGFは4月25日、テレワーカー向けに休憩の質を高める新サービス「ココロヒトイキ」を本格スタートした。30種類以上のスティックドリンクを個別に提案する定期便サービスで、同社初のD2C(Direct to Consumer、メーカーによる直接販売)専用オンラインストア「AGF MALL」のオープンとともに展開を開始した。


自宅で在宅勤務をしていると休憩をうまくとれず、メリハリをつけて仕事ができないという悩みはよくきかれる。そのため働く場所が変わっても、仕事のリズムを整える時間は大切だ。

「ココロヒトイキ」は、働き方や気分に合わせたドリンク提案を通じて、休憩そのものを生活の中に自然に組み込む新発想のサービス。そして、この取り組みの背景には、若手社員たちの挑戦を経て「ふぅ。があふれる社会」を目指す、味の素AGFの新たな文化づくりがある。

◆気持ちに合わせたドリンクが届く、休憩リズムを整える仕組み

味の素AGFが挑む、休憩の新習慣づくり―在宅勤務に寄り添う個別提案型ドリンク定期便「ココロヒトイキ」のサービス開始
「ココロヒトイキ」(セット例)
「ココロヒトイキ」(セット例)
サービス開始時点で用意されているドリンクは30種類以上。事前アンケートに回答すると、ユーザーの働き方や気分傾向が診断され、最適なドリンクセットが選定される。さらに、飲用後にフィードバックを送ることで、次回以降のセット内容がユーザーごとに進化していく仕組みだ。

ドリンクは、気持ちを引き締めたい時の「UEMUKI」、 気持ちをスッキリさせたい時の「SUKKIRI」、 気持ちをゆるめたい時の「FUU」、 もうひと頑張りしたい時の「GOHOUBI」の4カテゴリーに分類され、アンケートに答えることで、ユーザーの働き方に合ったドリンクをカスタマイズして届けられる。たとえば打ち合わせ続きで疲弊しているユーザーにはリラックス系が、だらだらしてしまう傾向のあるユーザーにはリフレッシュ系のスティックが多めに届けられる。

公式LINEアカウントと連携し、休憩タイミングのリマインド通知を送る機能も用意。単なる嗜好品の提供にとどまらず、生活のリズムそのものに寄り添う設計だ。

価格は1セット21本入りで税込2160円。
配送間隔は15日または30日から選べる。初回セットの中身は届くまでのお楽しみで、フィードバックによって次回以降のドリンクが進化していく。

◆テレワーク時代の休憩に新提案、若手社員が挑んだ試み

味の素AGFが挑む、休憩の新習慣づくり―在宅勤務に寄り添う個別提案型ドリンク定期便「ココロヒトイキ」のサービス開始
プレゼンテーションで新サービスについて語る竹川さん
プレゼンテーションで新サービスについて語る竹川さん
このサービス開発を担ったビジネスクリエーション部の木村優希氏は、「テレワーク中の気持ちに寄り添い、休憩の質を高めるためのサービスです。生活者一人ひとりのリズムに合わせたドリンク提案を通じ、心を整える新しい習慣を広めていきたい」と語る。

また、同部の竹川幸佑氏も「休憩を意識できるきっかけを作りたいと考えました。なりたい気持ちに合わせてドリンクを選び、記録していくプロセス自体を楽しんでもらえるよう工夫しています」と思いを話した。

現場で開発に携わった若手たちが、ユーザー目線で悩みに向かい合いながらサービスを磨き上げたことが伝わってくる。

◆島本社長が語る「小さな一歩、大きな挑戦」

味の素AGFが挑む、休憩の新習慣づくり―在宅勤務に寄り添う個別提案型ドリンク定期便「ココロヒトイキ」のサービス開始
味の素AGF 島本社長
味の素AGF 島本社長
味の素AGFの島本憲仁社長は、今回の挑戦について次のように語る。「D2Cは、当社にとって小さな一歩に見えるかもしれませんが、非常に大きな一歩です。これまで小売流通を主軸にしてきた当社が、直接お客様とつながり、社会に新しい価値を届ける挑戦を始めることができました。休憩に嗜好飲料が寄り添うだけで、心のリセット効果は大きく変わる。より良い社会に早く近づくための一歩だと考えています」。

また、現在のコーヒー豆価格高騰に関する課題について、こう続けた。

「味や香りといった基本品質に妥協せず、そこに寄り添う気持ちを込めた商品・サービスを届けることが大事です。
それにより、結果的にブランドの信頼が高まり、価値も上がっていくと思います。このような時代、心に響く付加価値を育てていきたいです」。

◆若手主体で始まったプロジェクト コロナ禍がきっかけ


「ココロヒトイキ」開発のきっかけは、コロナ禍による在宅勤務環境の変化だった。

オフィス勤務時に比べ「休憩をうまく取れない」「気持ちの切り替えが難しい」と感じるビジネスパーソンが増加していた。こうした社会背景を受け、味の素AGF社内では横断型の若手プロジェクトチームが結成された。

一般職から役員まで立場を超えたメンバーが集まり、「どんな働き方でも心地よく休憩できる社会を作ろう」という想いを共有。経営陣も積極的に後押しし、D2Cモデル「COEモデル」として事業化が進められた。

島本社長は、若手の挑戦を積極的に支援したことについて「これまでアイデアが潰れることもあったが、今回はきちんとカタチにできた。それが社員たちにとっても大きな自信になった」と振り返った。

◆味の素AGFが新サービスに名付けた「COE(声)モデル」とは?


「ココロヒトイキ」は、単なるD2Cサービスではない。味の素AGFではこの仕組みを「COE(声)モデル」と名付けた。一人ひとり(One to one)のユーザーの気持ち(ココロ=Cocoro)に寄り添い、味の素AGFとユーザーの間につながり(縁=En)を育んでいく。その頭文字を取って「COE」と命名された。「COE」と「声(こえ)」をかけた親しみやすい呼び名となっている。


このモデルは、一人ひとりの「小さな声」に耳を傾け、寄り添うことを重視する。ユーザーから得たフィードバックは、今後のドリンク提案だけでなく、将来的な商品開発にも活かしていく考えだ。

◆「ふぅ。」があふれる社会に向けて休憩に寄り添う


「ココロヒトイキ」の今後について、味の素AGFではユーザーの声を起点にサービスをブラッシュアップしていく。ギフト専用ドリンクや機能性ドリンクを中心に、ラインナップも柔軟に拡充を検討。さらに、他社とのコラボレーションやリアルイベントでの体験型プロモーションも視野に入れている。

島本社長は新サービスに対する意気込みを次のように語った。

「生活者にも、われわれ社員にとっても、『ふぅ。』があふれる社会を作るために、『ふぅ。』があふれる会社を作っていきたい。休憩に寄り添い、“ココロの健康”に貢献する企業であり続けたいと考えています」

味の素AGFが目指すのは、単なる飲料メーカーの枠を超えた“ココロとカラダの健康”を届ける存在だ。AGF初の直販サービス「ココロヒトイキ」は、その第一歩となるかもしれない。
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