(シンガポール発)ワイン&スピリッツの国際展示「Vinexpo Asia 2025」が5月27日、シンガポール マリーナベイ・サンズで開幕した。

これまで同展示会は香港で開催してきたが、2023年からシンガポールと香港の隔年開催となった。
シンガポールで2回目となる今年は、30カ国から約1,100社(うちフランス以外の企業が65%)が出展。29日までの3日間で、1万1,000人以上の来場者を見込む。

会場では、「Vinexpo Academy」と銘打った30以上のカンファレンスやマスタークラスを通し、専門的知見やアジアと世界の最新トレンドを共有。また、「ユニオン・デ・グランクリュ・ド・ボルドー」2022ヴィンテージ試飲会、イタリア「ガンベロロッソ2025年版」トレビキエリ試飲会なども実施した。
アジア最大級の酒類展示会「Vinexpo Asia 2025」シンガポールで開幕
Vinexposium CEO ロドルフ・ラメイズ氏
Vinexposium CEO ロドルフ・ラメイズ氏
オープニングセレモニーでは、毎回恒例の中国獅子舞に続き、主催社Vinexposium CEOロドルフ・ラメイズ氏と、シンガポール外務省・通商産業省ガン・シオウ・ファン政務次官が登壇。各国大使館からのゲストも参列した。

ラメイズ氏は冒頭、「Vinexpoは単なる見本市ではなく、業界の戦略とビジョンが交差するプラットフォームだ。近年はマイアミやフェニックスなど新たな都市への展開を通じ、地域の多様性を活かしながら、業界の結束を図っている。アジアにおいては香港とシンガポールの2都市で交互に開催することで、香港からは中国市場へ、シンガポールから東南アジアへとより幅広くきめ細やかなアプローチが可能になった。シンガポールでは今年も会期中に4,000件以上の商談が予定されている。この3日間がすべての参加者にとって実りあるものになるよう願う」とあいさつした。

ポテンシャル高まるアジア市場へアプローチ、ハブとしての優位性も強調


ファン氏は「多様な文化とワイン・スピリッツの融合を祝う場として、シンガポールほどふさわしい場所はない」と、「Vinexpo Asia」のシンガポール再来を歓迎。
「今年はアジア全域から17市場にまたがる専門家たちが集まる。Vinexpo Asiaは単なる商談の場ではなく、ボトルに込められた物語や文化を共有する機会でもある」とした。

さらに、「シンガポールは世界3位のワイン・スピリッツ輸入国であり、4位の輸出国だ。国内市場での消費はまだ限定的だが、自由貿易協定(FTA)と高度な物流インフラを活かし、アジアの流通ハブとして機能している」とアピールした。

現在、シンガポールは28の自由貿易協定を締結しており、最近では太平洋同盟との新協定も発効。この柔軟な貿易環境が、欧州や南米、オセアニアからの高品質な酒類をアジア市場へ届ける鍵となっている。

東南アジア市場の将来性についても、「6億人以上の人口と急成長する中間層が存在し、2030年までに世界最大規模の消費市場になると予測されている」と強調。特に若年層を中心に、ノンアルコールや低アルコールといった新しいカテゴリへの関心も高まっており、市場の多様化が進んでいると分析する。

最後に、「不確実性の高まる世界経済においては、業界と政府が連携し、開かれた貿易と持続可能な成長を目指すことが重要だ」と強調。「Vinexpo Asiaが、世界のワイン&スピリッツ業界に新たな活力をもたらすことを願っている」と締めくくった。

〈酒類飲料日報 5月28日付〉
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