昭和産業はワンストップ型営業組織改編を行って丸2年が経過し、「顧客の課題に対するソリューション営業が身についてきた」(同社)。市場では人手不足が慢性化する中、品質はもちろんのこと、省人化もニーズとして高まっている。
油脂カテゴリでは新商品の炊飯油「こめコート」と油汚れが付着しづらいフライ油「フライオイルCK‐UP」、リニューアルした「SベーカリーオイルR」など、「提案型営業を行う中で機能性油脂の伸び率が高い」(同社)。

ピロー容器やバッグ・インボックス(BIB)は、簡便性や作業性が楽ということでニーズが高く、通常の斗缶よりも伸びが大きい。ピローでは代表銘柄以外のラインアップも増えている。こめ油では昭和産業とボーソー油脂の両企業ロゴを冠したBIBも販売しており、ピロー容器の追加も検討中だ。

ソリューション営業によって、従来の外食向けや加工食品向けだけでなく、製菓・製パンユーザーへの販売も伸びている。「今まで製菓・製パンのお客様にとって、当社は小麦粉メーカーという認識を持たれていたが、油や糖質も、提案して採用されるケースが増えてきた」(同社)。さまざまなコストが上昇する中、歩留まりが良くなる、ロスが少なくなるといったコスト抑制の提案も行っている。「多くのユーザーが米に関しては頭を抱えている。米不足で外国産米も出回る中、ご飯のおいしさを維持する炊飯油など、機能性に特化した油は伸長率が高い」(同社)。

今年の日本カレーパン協会「カレーパングランプリ2025」では「SHOWA賞」に過去最高の28品の応募があった。「製粉のお客様にも数多く応募してもらえている」(同社)と組織改編の効果を語る。「SベーカリーオイルR」はリニューアルによって良くなったと好評だ。

◆現場の課題を解決する天ぷら粉の2つの新商品、省人化とCK活用がコンセプト


製粉カテゴリでは、現場の課題を解決する2つの天ぷら粉の新商品を重点的に提案していく。「中食や外食では人手不足やコスト高が課題になっている。どうすれば資材管理を簡便にできるかというミックスの開発アプローチを継続している」(同社)。

今春、天ぷら粉の新商品を2つ出した。コンセプトは省人化とセントラルキッチン(CK)の活用だ。「店舗調理だと人手が必要なので、セントラルキッチンの活用が進んでいる。資材管理や工程をどう減らせるかも課題だ」(同社)。

1つ目の新商品「フライの匠 天ぷら粉」の特徴は、打ち粉の工程が不要であることだ。調理工程の削減で省人化につながることや、打ち粉自体のコストと資材管理の手間を削減できることを訴求している。コロナ以降も天ぷらは、袋やパック入りでの販売が定着しており、食感に関する課題が出てきた。「時間が経ってもサクサク感を残せる設計にしている。このコンセプトがかなり響いて徐々に引き合いが増えており、スーパーのバックヤードのフライ調理現場や外食で使われている」(同社)。


2つ目の新商品「天ぷら粉 再彩」(ロゴ)のコンセプトは、店舗オペレーションの削減だ。CK向けに提案しており、採用件数も伸びているという。スーパーや外食チェーンでは、CKでフライ後に冷凍・冷蔵で店舗配送し、スチームコンベクションで再加熱することが多い。だが、再加熱すると衣にダメージを与えて硬くなり、劣化してしまうという課題があった。新商品は再加熱しても衣の歯切れがいいのが特徴で、「口どけが良いと評判がいい。市場ではこういったコンセプトの天ぷら粉は珍しく、スーパーマーケット・トレードショーでも引き合いが多かった」(同社)。

このほか、昨年秋にはカレーパン専用バッターミックス「カレーパンバッターミックスT‐129」を発売している。時間が経ってもカレーパンがつぶれずに形を維持できる効果がある。最近はスーパーでもカレーパンを提供する業態は増えているというが、次々揚げて販売する街のパン屋と異なり、スーパーは時間が経った時の油染みやサクサク感が残るかが課題となる。「Sベーカリーオイル」とミックスと小麦粉の組み合わせで、業態に合わせた最適な提案を行っていく考えだ。

〈大豆油糧日報 6月6日付〉
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